プロポーズ大作戦が好き
最近「プロポーズ大作戦」というドラマが再放送してますね。あれめっちゃ好きです。死ぬ前に見たいドラマの1つですね。
どうも、テトです。
「プロポーズ大作戦」の再放送を見ながらその物語についてだらだら語るのもいいかなと思ったんですが、今回はその中に出てくる『ペダルポイント』についてちょっと記事にしてみたくなったので書いてみようと思います。ちなみにペダルポイントとは音楽用語です。
ドラマのプロポーズ大作戦がペダルポイントといったいどんな関係があるのか、というと「『プロポーズ大作戦』のエンディングで流れる桑田佳祐の『明日晴れるかな』のコードの中にペダルポイントが使われている箇所がある」です。なかなかに「は?」みたいな関係のなさですが、書いていこうと思います(強引)
ペダルポイントとは?
詳しくはググったりして欲しいのですが、簡単に言うと「コードが変わっていくにも関わらず持続し続ける音」の事です。厳密にいうと最低2小節に渡って持続していないとそうとは言えないみたい。
この記事ではベース音のペダルポイントに限定して話を進めていきます。
コード譜をみながらギターを弾いたりする方は
D | A/D | C/D
↑こういうのをみたことがあるかもしれませんがつまりはこういうことです。
まあ口で説明するより聴いた方が早いですよね。
桑田佳祐 - 明日晴れるかな
このイントロのベース音がペダルポイントです。
1小節ごとにコードが変わっていますが1小節目から2小節目にかけてベース音は変わっていません。厳密にいうと、音程が変わっていません。
Elton John - Your Song
イントロ、間奏がペダルポイントです。私が聴いた中で一番美しいと思った曲で、本当に大好きです。
これは割とわかりやすくペダルポイントが入っています。このアルバム自体、至る所にペダルポイントが含まれています。
いちばんいっぱい けいおん
この曲にはBメロにおいて使われています。僕はこのBメロのコード進行が大好きで、作曲する時にちょっと形を変えてよく使っています。
ベースの音程が変わらないという、たったそれだけのことなのですが、それこそがかつての僕にとって衝撃的で、今でも僕が作曲でベースラインを考える点において頭の隅に置いている重要な思考をもたらしてくれたので、そのいきさつを振り返りながら備忘録的に記していきたいと思います。
複雑なベースこそ良しとしていた
僕が作曲を始めた時は、ポールマッカートニーこそが曲を作るにあたっての師匠でした。ポールの繰り広げる手の込んだメロディアスなベースに憧れ、目指すようになりました。
The Beatles - Hey Bulldog (Promo video)
The Beatles - Something
コードに対してベースが目まぐるしく動かそう動かそうと、必死になってベースラインを考えていました。ルート音だけを弾くことのないように。前のコードと同じ音をベース音にするなんてもってのほか、と思っていました。
そうしていわば「歌うベース」を意識して作られた曲の中には、当然比較的よくできた曲もあれば、強引に動かしすぎていて今聴けばちょっと首をかしげてしまうような曲もありました。考えればわかる話ですが、あらゆる曲すべてに対して複雑なベースラインをつけることは得策とはいえません。何事にも相性があるのは今になってみれば当たり前にわかることですが、当時の自分はただひたすらに、ベースを目立たせようと作曲にいそしんでいました。
ある1曲が僕の考えを変えた
そんな中「さて、今日もポールの曲をコピーしよ~っと」とピアノに向かいました。今回挑戦するのは、ポールがソロアーティストとして初めて発表したアルバムに収録された曲「Maybe I'm Amazed」。
'Maybe I'm Amazed' (from 'Rockshow') - Paul McCartney And Wings
この曲を弾き始め、サビに入った時に僕は驚きました。4小節ほど左手の位置がまったく動かないのです。
今まで、ピアノで「Martha My Dear」や「Lady Madonna」を弾いてきた自分にとって、左手が動かないというのはすごく新鮮で衝撃的でした。
The Beatles - Lady Madonna
そして、左手は全く同じ音程のベースを弾いているにもかかわらず、すごく美しく壮大なハーモニーが体の中に広がっていくのです。なにか、ゆるぎない大地を立つ自分の中に湧き上がるパワーのような。ウォーキングベースといった言葉もありますが、このペダルポイントのベースラインは、立ち止まった自分が変わりゆく風景を眺めているような、そんな感覚をもたらしていると僕には感じました。
物事にはメリハリという言葉がつきものですが、音楽においても、こうしてペダルポイントでベースの動きを止めておくことによって、その後のベースラインが一段と心に響いてくるような気がします。
動けばいいってもんじゃない。
この、ポールが作ったペダルポイントの曲に出会うことによって、僕のベースラインに対する考え方は大きく変わりました。なんでもかんでもベースが動けばいいってもんじゃない。ベースというのはその楽曲の雰囲気やニュアンスをくみ取り、表情をつけながらも徹底して支え続ける存在でなければならない、と気づきました。まあ実際のところは、そう思っていてもなかなか難しいのがベースラインを考える時の辛いところですが、そういう考えに至ってからはベースが割とシンプルになり、現在自分が所属しているバンドで作る曲でもシンプルなものが多いです。まあシンプルがベストかと問われればそれは曲によるとしか言えないのですが。
僕がバンドにおいて作る曲のベースがシンプルなのは、その他にもよほど大きいハコじゃない限りベースラインがクリアに聞こえないから変に動いても気持ち悪いだけとか、自分がベースだから楽したいとか色々ありますが、この時の考え方が大きく作用しているのも確かです。
おわりに
「ペダルポイント、いいねぇ~」みたいな軽い気持ちで書いたらいつの間にか僕のポールマッカートニー遍歴を熱く語るみたいになってしまったのですが、僕がベースのある事象について語ろうとするとポールなしには話せないのでいつもこんな感じになってしまいます。
"動かないことの美しさ"こそがペダルポイントの魅力であり、コードが変わってもルート音を追わずじっとその音を鳴らし続けるベースがその味を惹き立たせるのです。
その魅力に気づかせてくれたのが今回の記事で紹介した楽曲であり、その作曲者たちに敬意を表しつつ、僕もいつかそんな曲が書けるといいなあと思っています。