お久しぶりです。ペンタです。
不定期更新になるということは自己紹介で宣言してあったのですが、前回の更新から2ヶ月近く空いてしまいました。我ながらびっくりです。
これからはもうちょっと更新頻度をあげられるといいですね、と他人事のように言っておきます。
さて、実は僕、肺気胸で3週間弱入院していました(唐突)。
まさか年が明けて早々入院することになるとは思いませんでしたが、人生初の入院ということもあり、なかなか貴重な経験になりました。
せっかくなので、肺気胸で入院している間はどんな生活が待っているのか、僕の体験をつらつらと書いていこうと思います。
そもそも肺気胸ってなんぞ?
そもそも肺気胸とはどんな病気なんだって話ですが、ざっくりいうと肺に穴が空いてしまう病気ですね。
肺に空いた穴から胸腔に空気が漏れてしまい、その空気に圧迫されて肺がしぼんでしまう(=膨らめない)らしいです。
原因ははっきりとは解明されていないようなのですが、成長期の身長と胸腔の伸びに肺が追いつかないことがきっかけだと考えられているみたいです。
身長低めの僕としてはあまり納得がいきませんね。そんなに伸びた気がしないです。
また、ストレスや睡眠不足が発症と関係しているのでは、とも言われているようです。これに関しては心当たりしかない…。
ちょうど大学の試験期間とレポート提出のタイミングだったので、一週間ほど3時間睡眠の日々が続いていました。完全に原因が明らかになった感。
あとはこの病気の特徴として、若い痩せ型の男性が多く発症するみたいです。
はい、僕ですね(20歳 167cm 50kg)。
入院記
ここから、僕が入院していた時の生活の様子を赤裸々に?綴っていきます。
日記のようにその日に書いたところと、あとから記憶を辿って書いたところとが入り乱れているため文中の時制が安定しないですが気にしないでください。精神的に不安定なわけではないです。
あらかじめ断っておくと、文量が半端じゃないです。
ぜひ時間が有り余っているときにお読みください。
プロローグ
今回は肺気胸で入院していた僕ですが、その1週間ほど前までは肺炎を患っていました。
お正月が終わった頃に体調を崩してから発熱が続き、はじめは病院へ行っても原因がわからず、その後数日して40℃近くまで熱が上がってしまったので大きな病院へ行って、ようやく肺炎だと判明した感じです。
この時の肺炎は割りと軽症だったようで、入院することもなく、点滴と処方された薬を飲んだところ3日ほどで熱は下がり肺の炎症も治まりました。
それから1週間は体調も良く、大学へ行ってなんとか試験やレポートをこなしていたのですが、入院することになる3日くらい前から胸に痛みを覚えるようになりました。
常に痛みがあるわけではなく、自転車に乗ったり階段の昇り降りをしたりと、体を動かしたときに痛みを感じるとともに息苦しさがあったり咳が出たりしていました。
ただ、そう頻発していたわけではないので、肺炎だった影響かなという程度に考えてたんです。
漫画なんかでよくある虚弱体質キャラになった気がしていましたが、冷静に考えて虚弱体質な成人男性って需要がないですね。
Day 1
3日くらいそんな感じで過ごしていて、入院することになった日も試験とレポート提出があったので大学へ行ってました。
午前中で大学での用事が全て終わったので帰宅したのですが、やっぱり胸が痛い。
まさか…恋?とか思いながら、せっかく午後は時間があるので一応病院へ行っておくことにしました。
ちなみにこの日は東京で数年ぶりに大雪が降った日で、慣れない雪に足を取られながら近所の病院へ向かいました…。
その医院で診てもらっても原因はよくわからないみたいでしたが、心電図をとったところどうにもその記録に正常ではない箇所が見られたようです。
心臓の病気だったら緊急を要するみたいなことを言われ、総合病院への紹介状を書いてもらってすぐにタクシーで向かいました。
タクシーなんて数年ぶりに乗りましたがメーターが上がっていくあの感じ、こわいですね。
割りと近くの病院だったため1000円強で済んだのが幸いでした。
肺炎の時もお世話になった総合病院で診察してもらいレントゲンを撮った結果、左の肺が小さくなってしまっていることが判明しました。
はい、気胸です。
肺炎が治ったと思ったらこんどは肺に穴が開いてるんですよ。僕の肺弱すぎませんかね…?
早く処置しないとさらに悪化するおそれがあるためその日から入院することになると告げられまして、「いやいやご冗談を…」みたいに思っている間にどんどん手筈が整っていきます。
はじめは軽い気持ちで病院に行ったのにどうしてこうなった…。
その処置というのが、肺から漏れて肺を圧迫している胸腔の空気を吸引して肺が自然治癒で膨らむのを待つというものでした。
胸腔ドレナージと呼ばれる治療法で、脇の下辺りからドレーンというチューブを胸腔に挿入しこんな機械↓に繋げられます。
このドレーンの挿入を担当してくれた方(看護師さん?)が割りと新人だったようで、先輩らしき女性にアドバイスを貰いながら作業をしていました。
「これで大丈夫ですか?」とか聞きながら体の中をいじられるのはなかなかスリルがありましたね。医療の発展に多少なりとも貢献したといえるのではないでしょうか。
ドレーン挿入の際には局部麻酔をしていて、事前に「痛かったら言ってくださいね。麻酔を増やせますから」と声をかけてもらっていました。
麻酔のおかげでほとんど痛みはなかったのですが、一度どうしても痛いタイミングがあったので、痛いです…と伝えたところ、先ほどの先輩らしき女性に「うんうん痛いよねー」と返されただけでした。冷静すぎるでしょ。
麻酔を追加してくれるって言ったじゃん。約束が違うよ…。
そんなこんなで先ほどの機械と身体がチューブでつながれた状態になりまして、入院生活が始まりました。
この機械は点滴の台車?みたいなやつにくっついているので、それを押しながらであれば自由に立ち歩くことが出来ます。
チューブをぶら下げながら機械の乗ったスタンドを押して歩いているとすごく「入院患者」感が出るのでおすすめです(?)。
病院で夕食を食べてゆっくりした後、消灯時間の21時になったのでその日はもう寝ようとしたのですが、麻酔が切れたためかドレーン挿入部が痛い!
我慢して眠ろうにもちょっと寝られないくらいに痛かったので看護師さんに伝えたところ、痛み止めを処方するので病室で待っているように言われました。
やっと痛みから解放される・・・と思って待っていたのですが、いっこうに薬を持ってきてくれる気配がありません。
忘れられてるのでは?とか考えつつ痛みに悶絶しながら待つこと2時間弱、ついに看護師さんがロキソニンを持ってきてくれました。
薬がちゃんと処方されるのに時間がかかっていたみたいです。
初めてロキソニンを飲んだのですが、ロキソニンって凄いですね。
気にしなければ寝られる程度まで痛みがおさまり、無事に眠りにつくことが出来ました。
Day 2
入院患者の朝は早い(某TV番組風)。
6時起床で検診があるのですが、なんだかんだで5時半くらいには目が覚めてしまいました。まあ普段1時過ぎに寝ている人が21時に寝たらそりゃあ早起きしますよね。
検診は1日に2,3回あって、体温と血圧、血中酸素濃度、聴診器による診察などがワンセットです。
朝ごはんは8時なので、起床からはだいぶ時間があります。
正直、それなら7時起床でいいのでは?とか思ってしまいますが、おそらく医学的にどうのこうので時間が設定されているのでしょう(適当)。
さて、気になる病院食ですが、ふつうに美味しいです!
肺気胸の場合は食事制限が一切ないので、通常通りしっかりと味付けのされたメニューを食べることが出来ます。
毎食カロリーと塩分量が明記されていて、それを見る限り1日2000キロカロリー、塩分7,8グラムって感じです。
こんな感じにお盆に乗って出されるのですが、学校の給食みたいですね(小並感)。
なんと病院にはトースターがあり、食パンを焼きたい人は自分で焼くことが出来るのです。これは嬉しい。
朝ご飯を食べ終わって歯を磨いたりしてのんびりしていると、看護師さんがやってきてレントゲンに呼ばれました。
治療によって肺が膨らんでいるかを確認するためなのですが、そこで思わぬ偶然が!
そのレントゲン撮影を担当してくれた技師の方がなんと僕の知り合いだったのです。
正確には僕の弟が主にお世話になっていた方なのですが、まさかこんなところで出会うとは…。びっくりしました。
そんなこんなでレントゲンを撮ったのですが、お医者さんが見たところ残念ながらあまり回復していないようで、まだしばらく入院が続くかもねーみたいに言われました。
その後は適当に時間を潰しながら1日過ごしていました。
夜の検診時に地獄が待っているとも知らずに…。
検診のとき、ドレーンが刺さっているところを見た看護師さんに「これ少しずれてるからなおしますねー」と言われました。
何も考えずに「あ、はい」と返事をしたのですが、看護師の増援が来て二人がかりで何やら色々道具も用意している様子。
この時点で嫌な予感がしていましたが、見事に的中しました。
まずはドレーンを固定しているテープを剥がされます。
かなり強力なテープで、普通に剥がすだけでも痛いのに傷口が引っ張られて更に痛い…。
テープを剥がし終えたあとはドレーンをグリグリやって角度を調整していましたがここでも痛い。
丁度いい角度に入ったようでまた固定していくのですが、その途中で「ちょっとチクッとしますよー」と言われたかと思うと、針を刺したかのような痛みが2回ありました。何をしたんだろう。
そしてテープを貼り直してようやく処置が完了しました…。
さて、皆様お気づきかとは思いますが、この作業の間は麻酔など一切使っておりません!
普通に痛かったのでめっちゃ痛いですアピールをしていたのですが、看護師さんたちは全く意に介すことなく作業を続けていました(涙目)。
白衣の天使などと言われる看護師ですが、この時ばかりは白衣の悪魔のように感じられました。
作業が終わった頃にはリアルに涙目になっていて、全身に汗をかいていたと思います。
気胸による症状を圧倒的に超える辛さで、病院に来たことを半分後悔していました。
ただ、ここでドレーンを調整してもらったおかげか、その後は安静時にドレーン挿入部が痛むということはなくなりました。
ありがとう看護師さん!悪魔だなんて言ってごめんね。
Day 3~7
このあたりは、基本的に毎日同じように過ごしていました。
1日のスケジュールがこんな感じです。
6時 起床・検診
8時 朝ごはん
9時 医師による回診
11時 レントゲン撮影
12時 お昼ごはん
18時 夜ご飯
21時 消灯
この他に1,2回検診が入ります
圧倒的空き時間…!
朝起きてから寝るまでの間に決まって時間を取られる予定というのは、食事を含めてせいぜい2時間程度です。
毎日12時間近くもの自由時間があるわけです。
そうすると問題になるのが、その空き時間をどう過ごすかということですよね。
幸いなことにスマートフォン、ウォークマン、パソコン、小説を家族に持ってきてもらっていたので時間を潰すのに困ることはありませんでした。
僕は基本的にスマホをいじってるかウォークマンで音楽を聴いているか、本を読んでいるかという感じでした。
大学のレポートもあったのですが、簡単なものであれば病室で書いて提出することが出来ました。
そんな入院生活最大の課題が、スマートフォンのデータ通信の容量でした。
スマホでブラウザを使うにもTwitterを使うにもそれなりのデータ通信が伴いますよね?
動画なんかを見ようとするとさらに多くのデータ通信が発生します。
僕はAmazonのプライム会員なんですけど、プライムビデオと言って映画やテレビ番組などが見放題なサービスを利用できるんです。
普段から割りと活用していて、入院中も時間だけはあるので色々観ようと思っていたのですが、残念ながら病院にはWi-Fiがありませんでした。
仕方なくキャリアの4G回線だけでスマホを利用する生活が始まったのですが、データの消費量がえげつないことになりました。
普段家ではWi-Fiに繋いでいるので毎月のキャリアデータ通信はせいぜい2,3ギガ程度だったんですけど、入院してからは一週間の時点で利用したのが既に5ギガ…。
いやまあそれなりにプライムビデオを見たりノートPCをテザリングで使ったりもしていたので、妥当なところなんでしょうけど流石にこれはまずいと思いましたね。
対策として、映画やアニメなどを観る時間を減らし、その時間をネットラジオやウォークマンで音楽を聴く時間に当てたりしました。
そのおかげもあってだいぶ通信容量は削減できたのですが、結果として一度だけ1GB分追加することになってしまいました。
なんとなく負けた気がする。
世の若者が「ギガが足りない」とか言う理由の一端を知ることが出来た気がします。
ていうか、そういう人たちは普段Wi-Fiとか一切使わないのかしら?謎だ…。
もし皆さんがそれなりの期間入院することになったら、家族などに頼んでポケットWi-Fi的なものを持ち込むことをおすすめします。
入院生活の快適度が爆上がりすると思います(ポケットWi-Fiがなかった人)。
こんな感じで暇をつぶしながら過ごしていたのですが、肝心の病状はと言うと、どうにも芳しくなかったです。
初日と比べると多少肺が膨らんだのですが、それ以上回復する様子が見られなかったため、入院5日目に医師から「これはもう手術しないとダメだねー」と言われてしまいました。
最初の入院時に「なかなか回復しなかったらワンチャン手術の可能性があるよ」みたいな説明はあったのでなんとなく覚悟はしていたのですが、まあ手術まで行かずに治るだろう、と考えていましたが甘かった。
4日後に手術をすることが決まり、色々と説明を受けました。
手術については後で詳しく書きますが、1,2時間程度で終わるようなものなのでそんなに心配する必要はないとのことでした。良かった…。
そして入院6日目には友人、というかこのブログを共同で運営しているテトとヘキサがお見舞いに来てくれました!
家族もそれ以前に何度か来てくれていたのですが、やはりお見舞いに来てもらえると気分転換にもなっていいですね。
そんなテトとヘキサがお見舞の品として色々差し入れをくれたので見てみましょう!
コーラ飲みかけでごめん…。
大量のポテトチップス、スナック菓子詰め合わせ、コーラ、カフェオレ、粉ミルク…
およそ病人へのお見舞とは思えない食べ物の数々…。
そしてこの粉ミルク、完全に赤ちゃん用です。
なんならこの他にマックのハンバーガーとポテトも持ってきてくれました。
肺炎の影響で3kgほど体重が落ちてしまっていたので、「太れ」ということでハイカロリーな品々をくれたようです。持つべきものは友だちですね!
病院食も美味しいのですがジャンクな食べ物に飢えているところだったので嬉しい差し入れでした。
ただ、唯一惜しむらくはペプシコーラがゼロカロリーのものだったことでしょうか。太れない…。
Day 8 (手術前日)
手術前日に当たるこの日は、いつもよりも色々とやることがあって慌ただしかったです。まあそれでも大半の時間は空いていましたが。
起床して朝食を取り、その後レントゲン撮影をするなどして昼食まではいつもどおりのスケジュールでしたが、その後がいつもと違いました。
昼食後にダラダラのんびりしていたら、14時頃にCTスキャンがあるからと呼ばれました。
CTスキャンってあれです、ベッドに寝て大きな機械で体の内部を撮影するやつです(語彙力)。
僕はこの前に肺炎を発症したときにもCTを撮っていたので、人生で2回目のCTでした。
CTってなんとなく近未来的なアトラクションのような雰囲気があってワクワクしますよね。
滞りなくCTの撮影を済ませたあと、15時頃に麻酔科医の方が来て手術時の麻酔関連の説明をしてくれました。
明日の手術では全身麻酔を使うのですが、それにともなって色々と注意点があるようです。
ざっくりまとめるとこんな感じの内容でした。
- 全身麻酔は点滴で入り、完全に意識が飛ぶまで30秒程度
- 点滴の挿入部周辺がピリピリ感じるかもしれない
- 全身麻酔中は人工呼吸をするためのチューブを喉に入れる
- 麻酔によって副作用が起こる可能性がある…頭痛、吐き気(嘔吐)、発作、発熱
- エコノミークラス症候群の対策
この他にも、現在の健康状態などについての質問もいくつか受けました。
その後17時頃から、親も一緒に主治医の先生から手術についての説明をしてもらいました。
- 胸腔鏡下手術と言うものを行う
- 肺に穴が開く原因となっている部分(ブラ/ブレブ)を切除して同時に縫合もする
- 脇の下に3箇所ほど穴を開ける
- ドレーンを挿入している穴を使うかもしれない…この場合、新たに開けるのは2箇所で済む
- 輸血の可能性について…この手術ではほぼ100%輸血はないらしい
- 術後は数日程度で退院できるはず
こんなお話を聞いて、最後に手術の承諾書、輸血や麻酔についての同意書などにサインをして終了となりました。
予めネットで調べていたのである程度の情報は把握していたのですが、やはり実際に医師からの説明を受けると手術を受けるんだな、という実感が強くなりますね。
21時以降の飲食は一切禁止と言われていたので、最後の晩餐となる夕食を食べ、食後には差し入れでもらったポテチを食べて、と食を満喫してこの日の活動を終えました。
手術当日と術後1日程度は絶食状態となり、栄養は全て点滴で補給されるようです。
入院生活の貴重な楽しみが食事だったりするので辛い…。
そこまで大きな手術ではないとはいえ、一応は手術前夜なので眠れるか不安でしたが、全くの杞憂でした。
我ながら見事なまでの平常運転ぶりで、朝まで完全にぐっすりでしたね。
他の方のブログなどを読むと前日の夜には睡眠導入剤をもらったと書いている方もいたのですが、僕の場合は必要性を微塵も感じさせないレベルで熟睡しておりました。
夜になれば眠くなるし、眠くなったらそりゃ寝ちゃいますよね。
Day 9 (手術当日)
さて、いよいよ手術当日です。
5時半頃に目が覚めて、いつもどおり朝の検診を受けました。
前日の夜から飲食は一切禁止されているので、8時になっても朝ごはんを持ってきてくれる人はいません。
そのかわり、お医者さんが来て点滴の注射を受けました。
まずは栄養補給目的の点滴なのですが、ここで入れた点滴の針を使って手術時の全身麻酔も注入するそうです。合理的。
また、万が一に備えて輸血にも使えるようにするとのことで、ちょっと太めの針を刺すという説明を受けました。
注射の前に聞きたくなかった…。
針が太めだって聞くとそれだけで刺す時の痛みが倍増する気がしてきます。
この時に注射を担当してくれたのが研修医の若い先生でした。
注射するときに手がプルプルしていて「嫌だなー、怖いなー」と思っていたのですが、一度半分くらいまで刺した針を抜かれてしまいました。
「うまく刺さらなかった」とのことで、刺す位置を微妙に変えて再度トライしたところ今度はちゃんと刺さったみたいです。
一回無駄痛い思いをしたのは刺され損としか言いようがないですね。
9時頃に看護師さんが来て、手術が15時頃からになる予定だということを教えてもらいました。
なるべく早く済ませたかったけどこればっかりは仕方ありません。
この時点で手術着に着替え、血栓防止のための弾性ストッキングというものを履きました。
弾性ストッキングとはかなり締め付けが強い医療用のストッキングで、手術中や術後にエコノミークラス症候群になってしまうのを防いでくれるようです。
生まれてこの方ストッキングというものをはいたことがなかったので、通常のストッキングとの比較はできないのですが、説明通りかなり締め付けが強くて履くのも一苦労という感じでした。
ただ、しばらく履いているとそこまで締め付けられているという感覚はなくなってくるので不快感はあまりないです。
その後、いつもどおりに検診があり、お昼過ぎ辺りに部屋を移動することになりました。
なんでも手術後の患者がいく部屋のようで、ナースセンターのすぐ隣にある重症室という部屋です。
重症室って名前からしてちょっと関わりたくないですね。
病室に持ち込んでいる荷物もまるっと移し替えるのですが、思いの外荷物が多くて苦労しました。
お引っ越しを済ませた後は手術に向けて紙パンツ(オムツ?)に履き替え、万全の体制でその時を待ちます。
15時になり、とうとう手術室へと呼ばれました。
勝手なイメージで、手術室へは移動式のベッドに乗せられていくものだと思っていたのですが、僕のように自立して歩行できる患者の場合は普通に歩いて手術室までいくようです。
自分の足で処刑台へと向かう気分。
手術室は手術をする部屋とその手前の控室のようなところに分かれていて、まずは控室で本人確認をしました。
名前や生年月日、血液型などを聞かれたのですが、あいにく僕は20年間自分の血液型を知らずに生きてきたので、血液型についてはわからないと答えました。
すると、看護師さんがPCにプロファイルされている僕のデータを確認し始め、その結果A型だということが判明しました!
入院してから採血もしていて、手術の際には輸血が必要になる場合があるという説明を受けていたので、考えてみれば病院側が僕の血液型を把握しているのは当たり前ですね。
ただ、自分の病状と手術のことにしか関心がなかった僕としては、まさか手術直前のこのタイミングで自分の血液型を知らされるとは思ってもいなかったので非常に驚きました。
両親の血液型からしてありえない血液型だったら、と思うと恐ろしいですね。
まさかのサプライズがありましたが、いよいよ手術が始まります。
手術台に仰向けに寝ると、数人のスタッフが服を脱がせたり装置を取り付けたりと慌ただしく動いているのがわかりました
手術についての説明を受け、全身麻酔が点滴から注入されていきます。
はじめはなんともなかったのですが、急に視界がぼやけてきたと思ったら次の瞬間には完全に意識を失っていました。
ネットの体験談などでも「一瞬で意識を持っていかれる」という意見が多かった理由がわかります。
「ゆーてそんな急に眠るわけじゃないんでしょ」とか思っていた自分がアホらしくなるくらいの瞬殺っぷりでした。
次に目が覚めたのは病室のベッドの上です。
母親が隣に立っていて何か声をかけてきたのは覚えているのですが、寝起きのボケ方を数段悪くしたような感じで朦朧としていたので、細かい会話の内容は記憶にありません。
19時頃には母親が帰ったと思いますが、僕はその後すぐに眠ってしましました。
2時間に一度くらい看護師さんが体温と血圧を測りに来たことを薄っすらと覚えています。
その後しばらく眠っていましたが、(恐らく)午前2,3時頃に手術の傷口と腰の痛みで目が覚めてしまいました。
このときにはかなり意識がはっきりとしていて、自分がどんな状態になっているかをしっかり把握することができました。
手術前から刺さっていたドレーンと点滴の他に、心電図や血中の酸素濃度を測るためのもの、尿道カテーテルなどが付けられていました。
身体からは全部で5,6本のチューブやらケーブルやらが伸びていて、さながら人造人間のような感じでした。
そういえば、全身麻酔から覚めたときに吐き気がしたり、人工呼吸器を入れていたことによって喉に痛みを感じたりする人もいるという説明を受けていたのですが、僕の場合は特にそういったことはありませんでした。
強いて言えば若干声が出しづらかったかなという程度で、これも麻酔によるものなのか寝起き特有のアレなのかはわからないくらいです。
さて、再び眠ろうとしたのですがなかなか寝られません。
傷の痛みの影響があるだけでなく、眠いのに何故か眠れないという状態でした。麻酔の副作用だったりするんでしょうか。
窓際にベッドがあるのですが普段は特に気にならない車の走行音がやたらと耳について一層目が冴えてしまいます。
また、尿道カテーテルが刺さっているため常に違和感があり、それを意識してしまうと力が入ってカテーテルによる痛みが…という負の連鎖が発生していました。
結局このあとは一睡もできず、痛みに耐えながら永遠にも感じられる数時間を過ごして朝が来るのをひたすらに待ちました。
Day 10 (術後1日)
そんな状態だったため、朝6時になり部屋の電気が付けられた瞬間の達成感は半端じゃなかったです。
7時頃に医師がきて術後の様子が安定していることを確認してもらいました。
医師の許可が出たため、まずは痛み止めを飲んでから歩行の練習をするのですが、正直ここはかなりきつかったです。
ベッドに寝ている体勢から起き上がろうとしても、傷口が痛みますしそもそも身体に力が入りません。
全身麻酔をして手術を受けてから半日以上寝たきりだったので当然ともいえますね。
生まれたての子鹿を彷彿とさせる感じでなんとか立ち上がり、かなりゆっくりとではありますが自分で歩くことが出来ました。
自立歩行が出来て一人でトイレにもいけると認められたので、尿道カテーテルを抜くことになりました。
抜く瞬間はなんとも言えない違和感のような気持ち悪さと痛みがありましたが、カテーテルには苦しめられていたので解放されたことへの喜びはひとしおでした。
カテーテルを抜いてからしばらくは排尿時にしみるような痛みを感じるものの、2,3日もすれば気にならない程度まで痛みがなくなります。
このタイミングで飲食も解禁されたので、昼ごはんの前にテトとヘキサが持ってきてくれたお菓子を食べました。めちゃくちゃ美味しかったです。
かっぱえびせんであそこまで感動したことはなかったし、これからもないと思います。
僕はこの頃から「少なめのお菓子の詰め合わせって、実際患者のお見舞に最適なのでは?」と思い始めました。
すぐに食べ切れる量なので中途半端に残して湿気てしまうこともないし、逆に食べすぎてしまうこともありません。
まさかあの2人はそこまで考えて差し入れに持って来てくれていたのだろうか…。
9時頃に回診があり、背中側の傷口から血が滲みてしまっていたので傷口に貼ってあったガーゼとテープを交換してもらいます。
この時交換してくれたのが、昨日の点滴の注射が「うまく刺さらなかった」研修医の方でした。(割りと根に持っていたりする)
今回も、一緒に来ている先輩らしき医師に「手が震えてるけど大丈夫?w」みたいに言われながらもガーゼを変えてくれました。頑張れ先生。
その後手術着からいつものパジャマのような服に着替え、血栓予防の弾性ストッキングも脱ぐことが出来ました。
履くときにかなり苦労した弾性ストッキングですが、脱ぐときにもその締め付けの強さからなかなか手間取りました。
しばらく履いていると締め付けはあまり気にならなくなるとは言ったものの、やはり脱いでみると開放感が違いますね。
お昼前頃にレントゲンの撮影に呼ばれたのですが、向かっている途中で突如胸から背中にかけて強烈な痛みが走りました。
今回の入院中では経験のないタイプの痛みだったのですごく焦りましたが、なんとかレントゲンを取って病室へ戻りベッドでプルプルしていました。
10分位してから看護師さんが来たので、こんな感じで痛むんだけどまた肺に穴が空いたりしてないか、と相談してみました。
看護師さんによると、レントゲンを見る限りでは肺に穴が空いて縮んでいる様子はないのでそこは安心して良さそうということで、痛み止めの点滴だけ入れてもらいました。
また、医師からの指示で、ドレナージの機械を止めて肺が膨らんだ状態を維持できるか見るために電源を落とします。
明日までこの状態でいて、レントゲンで肺に問題がなければドレーンを抜くことになるみたいです。頑張れ僕の肺。
お昼ごはんを食べてしばらくすると、再び部屋の移動がありました。
僕はもう重症室にいる必要はないみたいです。
新しい部屋でも窓際のベッドが僕の定位置でした。
「窓際、いいじゃん」と思われる方がいるかもしれませんが、あまり良いものではなかったことをお伝えしておきます。
たしかに外の様子は見られるのですが、観光地のホテルでもないので特にきれいな景色なんて見られません。
窓の外にあるのは普通の市街地です。
また、すぐ目の前がそこそこ大きな道路なので、車の往来が多くその音が気になります。
さらに、これはこの時期だけかもしれませんが窓から冷気が降りてきます。
掛け布団から腕などを出しているとその部分だけ寒くなってしまうのでちょっと不便でした。
その後、自分で食事を取れるようになったので点滴を外すことになりました。
しかし点滴のチューブを腕に固定しているテープが結構強力なやつなので、剥がすときには脱毛でもやられているんだろうか、という感じの痛みを味わいました。
これにより、今朝の時点で5,6本のチューブやケーブルが身体から生えている状態だったのが、残すはドレーンのみとなりました。
ちなみにドレーンはこんな感じのところに入っています。
大きいガーゼの真ん中らへんですね。
これ以降は特筆するようなこともなく、普通に食事をとったりしていつも通りに過ごしていました。
ただ、どうしても傷口が痛むので眠る前に痛み止めを飲まずにはいられませんでしたが、逆に言えば痛み止めを飲めば眠れる程度の痛みではありました。
Day 11 (術後2日)
この日は5時に目が覚めました。
昨日と比べると傷口の痛みはいくらかマシになったように感じます。
やっぱり身体に刺さっているチューブは少ないほうが精神的にもいいですね。
こんな感じで早起きしてしまった日には、僕は音楽を聴いて朝の検診を待つことにしています。
というのも、もちろん昼間も音楽を聴くのですが、いつ看護師や医師が声をかけてきたりカーテンを開けて入ってきたりするのかわからないため、普段はイヤホンを片耳にしか付けていないんです。
それなりに遮音性の高いイヤホンを使っていることの弊害ともいえますね。
しかし、起床時間までは看護師が来ることもないため、両耳にイヤホンを付けてじっくりと音楽を聴くことができるのです。
同じ理由で、消灯後にも1時間ほど音楽を聴いてから眠りにつくことが多々あります。
この消灯後と起床前のタイミングは、一日の中でもかなり好きな時間だったりします。
いつも通りに検診や食事を済ませ、この日は珍しくお昼ごはんのあとにレントゲンの撮影がありました。
普段であれば昼前には撮り終わっているのですが、混んでいたんでしょうか。
昨日からドレナージの機械を止めて様子を見ていたのですが、今日のレントゲンでは肺がしっかりと膨らんでいなかったようで、ドレナージを再開することになってしまいました。
順調に行けば今日ドレーンを抜くことになっていただけに残念ですが焦っても仕方ないですね。
また、この日は昼前の検診で37.5℃の微熱があることがわかりました。
朝の時点では完全に平熱で、体がだるいというようなこともなかったので熱があるとは思っていませんでした。
手術後に多少発熱があるというのはままあることらしいので、よほど長引くこともなければ心配はいらないようです。
その後も特に体調が悪化することはなく、微熱を携えていつもどおりの一日を過ごしました。
傷口の痛みは問題なさそうだったので就寝前にも痛み止めを飲まずにいたのですが、23時頃に痛みで目が覚めてしまい、結局痛み止めを飲んでから再度眠りにつきました。
Day 12~14
このあたりは、特に書くようなこともないですね。
微熱が出たと思ったら朝には下がっている、ということを繰り返していたものの体調はいつも通りで、熱があるという感じはしませんでした。
手術後の傷やドレーンが入っているところの痛みは次第に治まってきているのを感じます。
手術直後は横になるときや起き上がるときに結構な痛みがあったのですが、この頃になるとちょっと痛むという程度で済むようになりました。
安静時には傷が痛むことは殆どなくなってきます。
13日目の夜からは、就寝前に痛み止めを使わなくても寝られるようになりました。
また、この頃家族に頼んでPSPを家から持ってきてもらいました。
スマホを使ってると通信容量がいくらあっても足りないので、ネットに依存しない暇つぶしの手段です。
2年近く触っていなかったPSPで、3年以上はプレイしていないモンハン3rdを久しぶりに再開したのですが、あまりにも下手になっていて泣きそうでした。
そういえばモンハン3rdがリリースされたのってもう8年近く前のことなんですね。時が経つのが早すぎて…。
Day 15
入院生活も3週間目に突入してしまいました。
こんなに長く入院することになると誰が想像しただろうか。
相も変わらず昼前から微熱になるのが続きます。
そして朝にはまた平熱へ…。
この日は朝ごはんを食べたあと、いつもより早めの9時頃にレントゲンの撮影がありました。
ここ2日はレントゲンを撮っていなかったので、ちょっと久しぶりのレントゲンです。
その後、昼食を終えたころに件の研修医さんがやってきて、レントゲンを見たところしっかりと肺が膨らんでいることが確認できたとのことで、再びドレナージを中止することになりました。
前回もここまでは順調だったのに翌日に肺が縮んでしまっていたので、今度はその二の舞いにならないようにしたいですね。そのために何ができるというわけでもないですが。
とりあえずは僕の肺に頑張ってもらうしかありません。
前日に家族に頼んで買ってきてもらったセブンイレブンのしっとりチョコが美味しすぎて2日で一袋食べきってしまいました。
これ好きなんですよね。おすすめ。
しめて487kcalなり。
軽い食感でいくらでも食べられてしまうのにこのハイカロリー。恐ろしい子…。
Day 16
午前中は特に何をするでもなく過ごして、昼食後にレントゲンの撮影をしました。
この前はこれで肺が縮んでいましたが今回は膨らんでいますように、と諸々の神様にお祈りしながら医師が来るのを待ちます。
その結果、ドレナージを止めて1日たっても無事に肺がしっかりと膨らんでいたようです。
次の段階として、美容師さんが使うハサミのようなものでドレーンを途中で完全に止めるクランプというものを行うことになりました。
これまでの、機械をただ止めるのとどれだけ違うのかはわかりませんが、特に息苦しいとか呼吸がしにくいと言ったこともありません。
明日までこの状態で過ごし、明日のレントゲンで肺が膨らんだ状態をキープできていればドレーンが抜けるようです。
前回の失敗(?)を乗り越えた僕としてはいける気しかしないですね(フラグ)。
Day 17 (ドレーン抜去)
午前3時頃にトイレに行きたくて目が覚めたのですが、どこか他の病室から「嫌!嫌!嫌!」という年配の女性の声が聞こえてきて怖かったです。
寝言なのか何なのかイマイチわかりませんが、もはや叫び声というレベルだったのでビビりました。心臓に悪いです。
さて、この日は9時前にレントゲンの撮影がありました。
恐らく朝一番ですね。
早く済ませてもらえるのはありがたいです。
その後、10時半頃の回診でさっきレントゲンを撮ったということを伝えるとその場で画像を確認してくれました。
その結果、肺はばっちり膨らんだ状態で特に問題ないため、一通り回診が終わったらドレーンを抜いてくれるとのこと。
前日に立てたフラグを見事にへし折り、勝利を掴み取りました!
ただ、去り際に「抜くとき痛いからね~」と軽い感じで言っていたのがめちゃくちゃ気になりますね。
回診は30分位で終わるのかなーとか考えつつ、先生が来るのをガクブルして待っていたのですがなかなか来る気配がありません。
結局来たのは、お昼ごはんを食べてまったりしていた13時頃でした。
来てくれたのは、おなじみの研修医さんともう一人先輩らしき医師の2人です。
麻酔は使わずに病室のベッドの上で抜くようで、ドレーンが刺さっている左側を上に向けて横になるよう言われました。
まずはドレーンを固定しているテープを剥がすのですが、これが地味に痛かったです。点滴のテープを剥がしたときと同じ感じですね。
次に、ドレーンと皮膚を繋いでいる糸(?)か何かを切ったみたいです。これはちょっとちくっとする程度で、もはや誤差の範囲内。
ドレーンを抜く準備が終わったようで、いよいよ抜去に入ります。
医師の説明によると、ドレーンを抜くときは呼吸を止める必要があるとのこと。
息を吸ってしまうとドレーンが刺さっていた穴から胸腔内に空気が入ってしまうらしいです。なにそれ怖い。
そのため、どんなに痛くても合図があるまでは息を我慢しなくてはいけません。
一度、合図に合わせて息を止める練習をしました。
「はい息を深く吸ってー。吐いてー、吐いてー、吐いてー、止める!…はい良いですよー」ひっひっふーのあれみたい。
練習を済ませたところでいよいよ本番です。
といっても、僕は指示通りに息を止めていただけです。
ドレーンを抜くのは一瞬で、痛いとか感じる暇もありませんでした。
抜けた感覚すらないうちにスキンステープラーで傷口を2箇所、ガチャッガチャッと止められました。ここまで恐らく5秒足らず。
これは割りと痛かったですが、想像ほどではなかったです。
脇腹を本気でつねったくらいのイメージでしょうか。
脇腹を本気でつねったことはないので実際どうか分かりませんが。
正直、入院2日目の夜にドレーンのずれを直したときのほうが痛かったように思います。
あれは鋭い痛みではなかったものの、なんだかんだ数分は続いたからね…。トラウマ級です。
今回の抜去後は、熱いようなじんじんする感じの痛みが傷口にしばらく残るものの、30分もすればほとんど気にならないくらいになりました。
さて、思いの外あっさりと抜去がおわり、2週間以上ぶりに身体から全てのチューブが抜けました。身体が軽い!
体を動かしてもいちいち痛むことがないのは素晴らしいですね。
体勢によっては傷口が引っ張られる感じがありますが、それでもドレーンがついているときと比べれば雲泥の差です。
痛みが治まってからはドレーン抜去記念に病院の売店でお菓子を買ってきて、テトたちにもらったストロングゼロとともに1人でパーティーをしました。至福の瞬間。
このときのためにストロングゼロだけは飲まずにとっておいたのです。
我ながら神采配としか言いようがない。
※ここでいうストロングゼロとは、ペプシのストロングゼロのことです。誤解なきよう。
看護師さんから退院はいつが良いかと聞かれたので、なるべく早くと答えたところ、明日のレントゲンの結果に問題がなければ即日退院できると言われました。
迷うことなく、じゃあそれでお願いしますと即答。当然ですね。
その後は退院に向けて、病室に持ち込んでいた荷物を少しずつまとめ始めたりしました。
Day 18 (退院?)
さあ、いよいよこの日がやってきましたよ!
今日のレントゲンを見て医師から許可が出れば無事に退院となります。
昨日と同じく、9時前にはレントゲンを撮り終わったのであとは先生が来るのを待つのみです。
そして回診のときに、先生がレントゲン写真を確認してくれました。
その結果…
退院が延期になりました!!!ふぁっく!
これは笑うしかないです。いや笑えませんけど。
どうやら若干ではあるものの、昨日と比べて肺が縮んでしまっていたようです。
立てたフラグは確実に回収していくスタイル←。
いやいや、気胸が治って肺の穴が塞がったからドレーンを抜いたんでしょうよ。
昨日ドレーンを抜いちゃったのに処置はどうするんだろう。
また刺し直しとかやってられないです。
刺すときに割りと痛みがあることを知っているだけに余計にね…。
回診の先生から主治医さんに連絡をして、あとで主治医の先生が直接処置の判断をするみたいです。
とりあえずそれまでは待つことに。
退院という希望が潰えたため半ば放心状態で過ごしていると、昼過ぎに主治医の先生が来てくれました。
先生によると、また肺に穴が空いたのではなく、昨日ドレーンを抜いた際に胸腔に少し空気が入り込んでしまった可能性はあるとのこと。
その場合、明日レントゲンを撮って今日と変わりがなければ、つまり今日よりも縮んでいるのでなければ、退院してから通院で対応することにして問題ないらしいです。
胸腔内の空気はそのうちに血液に溶けたりしてなくなるみたいです。
そうであって欲しい…。
ただでさえ入院が決まってからあらゆる予定が狂っているのに、これ以上予定が潰されるのは勘弁してほしいですね。
Day 19 (退院)
さて、絶望の退院延期から一晩明けて、今日の検査で前日よりも肺が縮んでいなければ取り敢えず退院できることになります。
朝の感じでは、呼吸したときの感覚なども前日と特に変わった気はしないので問題なさそうだなーとか思ってレントゲンを待っていました。
ここ2日ほどは朝一番乗りくらいでレントゲンの撮影があったのですが、今日は10時頃になってようやく呼ばれました。ようやくってほど遅くもないですが。
レントゲン撮影後、部屋に戻ってそわそわすること30分。
いつもの研修医さんがやってきて、先生と確認したところ肺の様子に変化がないため、退院の許可が出たことを伝えてくれました。
このときほど嬉しかったことは、ここ1年では一度もないですね。
落としそうだと思っていた単位を取れたときよりも嬉しかったです。
もうニッコニコでした。
退院後も食事制限はなく、お風呂やシャワーも問題なく利用できるようです。
運動は流石にすぐには厳しそうですが、無理のない範囲で行いましょう、とのこと。
その後は看護師さんから退院に際しての説明(精算や通院の予定など)を受け、退院の準備をします。
あと、スキンステープラーで留めている傷口のガーゼを交換してもらいました。
病室に持ち込んでいた荷物をまとめ、昼頃には無事退院の手続きなどが全て終了しました。
家族が迎えに来てくれたので一緒に蕎麦を食べて帰りました。
久しぶりに屋外に出たのですが、暖かい病院に慣れすぎてしまったためとても寒く感じました。
そして3週間ぶりに自宅に帰って最も感じたのは、Wi-Fiは神ってことですね!
エピローグ
退院はしたものの、肺が完全に膨らんでいる状態ではないため多少の息苦しさは残ります。
階段の昇り降りとか地味にきついですね。
また、ドレーンが入っていたところの傷口が身体を動かしたときに引っ張られるため、痛みを感じるほどではないにしても動作に制限があります。
ただ、これらは時間とともに解消されていくみたいなので気長に待つしかないです。
入院中は一日の殆どをベッドの上で過ごしていたため、全くと言ってよいほど運動をしていません。
そのくせ一日3食はきっちり完食して、それに加えて売店で買ったお菓子などをよく食べていました。
こんな生活を送っていたので退院時の体重がどうなっているのか気になっていたのですが、入院前と全く変わっていませんでした。
病院のご飯はカロリーが完璧にコントロールしてありますから、ほとんど太る要因にはならないのでしょう。
ただ、運動をしていないということから、確実に筋肉は落ちていると思われます。
筋肉は脂肪よりも重いため、筋肉が落ちたのにも関わらず体重が変化していないということは、その分脂肪が付いたのではないかと思います。
まあ入院前の時点で肺炎の影響からかなり体重が落ちてしまっていたので、ある程度脂肪がつくのはむしろウェルカムです。
あとは落ちてしまった筋肉を戻せば増量できるのでは?
肺の穴は塞がっているものの、若干肺が縮んでしまっている状態で退院したため、通院で経過を観察する必要があります。
また、ドレーンを抜いた箇所を留めているスキンステープラーの針も抜かなければいけません。
そのあたりのことはまた病院に行った段階で追記したいと思います。
2/17追記
退院後一週間ほどしたタイミングで、経過観察のために病院に行ってきました。
レントゲンを撮ったところ、肺は退院時と比べて膨らんではいないが縮んでもいないという状況でした。
あとは自然に膨らむのを待つしかないので、胸の痛みや息苦しさなどがなければこれ以上の通院は必要ないとのことです。
また、同じタイミングでスキンステープラーの針を抜いてきました。
予定では次週の通院時に抜くはずだったのですが、傷口の治りが早くて前倒しになりました。
ちなみに抜糸ではなく抜鉤(ばっこう)と呼ぶらしいです 。
抜鉤ははさみのような器具を使ってやっていました。というかはさみにしか見えなかった。
どのような仕組みなのかはわかりませんが、針を取るのは一瞬で痛みも殆どありませんでした。
ちょっとチクッとしますが、注射のほうがよっぽど痛いです。ペンで軽く突いたくらいな感じ。
痛いのを覚悟していったので拍子抜けでしたね。
さて、これで肺気胸に関して病院にお世話になることは全ておわりました!
まだ体力的に回復しきっておらず、肺活量が落ちているのか歌うときに息が続かなかったりします。
あと体を動かすと傷口が引っ張られて少し痛むのも相変わらずです。
まあこれから時間が経つにつれて回復していくと思うので、気長に待つしかないですね。
3/10追記
退院して1ヶ月がたちました。
退院直後にあった息苦しさはすっかりなくなりました。
2/17に書いたとき以降は病院に行っていないためはっきりとはわかりませんが、恐らく肺も膨らんでいるのではないかと思います。
傷口に関しては体勢によって多少引っ張られる感覚はありますが、それによって痛むということはなくなりました。
バイトなんかも普通にできています。
ということで、肺気胸について追記するのはこれが最後になると思います。
まとめとしては退院後1ヶ月もすればほとんど元通りに生活できますよ、って感じですね。
入院中に辛かったこと
番外編として、気胸での入院に限らないとは思いますが、僕が入院していて辛かったことを3つほど紹介します。
寝返りがうてない
常時ドレーンが脇の下に刺さっている状態なので、上半身を動かすと多少なりとも痛むことが多いです。
そのため、寝ているときにも寝返りをうつことが出来ませんでした。
何が困るかというと、寝ている間中同じ姿勢でいることになるので腰が痛くなってしまうんです。
寝付きがいいことに定評のある僕ですが、腰の痛みで午前3時頃に目が覚める、ということが数回ありました。
こうなってしまうと横になっていても痛くて寝られないので、一度起き上がってしばらく音楽を聴くなどして腰を休めてからもう一度寝ることでなんとか凌いでいました。
ただ不思議な事に、入院して1週間がすぎる辺りからは夜中の腰の痛みはさほど気にならなくなりましたね。
慣れたのか、それともちょうどいい姿勢を自然と見つけていたのかはわかりませんが。
ドレーンが刺さっていることによる影響全般
先ほどの寝返りがうてないこともそうなのですが、ドレーンが刺さっていることでいろいろなところで苦労しました。
トイレに行くときにはいちいち機械の乗った点滴棒を押して歩かなければなりません。
これも慣れてしまえばさほど苦ではなくなりますが、やはり鬱陶しいですね。
また、安静にしているときはほとんど問題ないのですが、体を動かすと刺さっている箇所が引っ張られて痛むことが多々あります。
そのため、左腕を伸ばして何かものを取ったりしようとするとその度に痛い思いをするので、何をするにも右手を優先して使うようにしていました。
さらに、背筋や首筋をまっすぐ伸ばそうとするときにも痛むので、常時首が曲がった姿勢になってしまいがちでそれによる痛みもありました。
もともと猫背気味なのですが、入院でさらに猫背が加速した気がします。
そして一番苦戦したのが着替えですね。
病院で貸してもらえる服(パジャマ?)は脱ぎ着がしやすいように浴衣のような前開きになっていました。
しかし、それでも脱いだり着たりするときには傷口が引っ張られてしまうので痛みに耐えながら着替えをしていました。
着替えがこんなにも上半身をフルに使うものだとは思いませんでした。もはやそういうスポーツか何かみたい。
相部屋の人が発する音
個人的に一番つらかったのがこれです。
病室は基本的に大部屋なので、相部屋となる人が数人います。
個室がよかったら追加課金しろ、ってことみたいです。
まずは部屋を移動する前、つまりは入院当初の病室でのことになります。
相部屋の人たちも病人なのでそのほとんどが静かに1日を過ごしているんですけど、1人だけめちゃくちゃうるさい人がいました。
うるさいというのがどういうことかというと、独り言です。
基本ずっとベッドに寝ている状態の人なのですが、事あるごとに「あー」、「ちきしょう」、「なんだこれ」などとブツブツ独り言を言っていました。
その他にも思ったことが全て口から出ているのでは、というレベルで一日中ブツブツ言っていたり舌打ちをしたりしていたのでとにかく気になります。
夜寝ているときにいびきをかく人は2人位いて、そこはまあどんな環境でも寝られることに定評のある僕なのでそこまで気にはならないのですが、おっさんの独り言というのは非常にイライラしますね。寿命がストレスでマッハな感じです。
気になるときは音楽を聴くなどして対処していました。
なんとなくですが、その人が発する声や音そのものではなく、不満や感じたことなどを全て口に出すその幼稚さや相部屋の人の迷惑も考えられない無神経さに対してのイライラだったような気もします。
今度は手術を終えて部屋のお引越し後のお話です。
また5,6人の相部屋で、上記のような独り言おじさんはいませんでしたがそのかわり多種多様な音を発する人たちがいました。
まずは食事中の咀嚼音が大きい(所謂クチャラーですね)のと特大のゲップを連発する人です。
これを併発しているので、食事中は「クチャクチャ、げーっぷ」という音が響き渡り、的確に食欲を削ってきます。
この人がどんな原因で入院しているのかわからないので、ゲップは病気か何かのせいなのかもしれません。
しかし、それでも一切音を抑えようという努力の感じられないゲップと咀嚼音は人としてありえないですね。
こういう人は日常生活で指摘してくれる家族や知り合いなどがいないのだろうか。
次に、頻繁に痰を出すため(?)の「かーーっ」という音を発する人です。
これはおそらく入院の原因となっている病気などによるものなので仕方ありませんが、食事時にこの音を連発されると結構なダメージになります。
というか30分に一回くらいはこの音を響かせていたような気がします。
もうだいぶおじいちゃんなので、無事に回復することを祈るのみです。
そして、度々嘔吐してしまう人の音です。
これはもう完全に病気などのせいだと思うのでその人に責任を問うつもりはありません。
ただ、やはり人が嘔吐する際の生々しいサウンドを一日に何度も聞かされるというのは気持ちのいいものではないですね。
こんな感じで、相部屋で入院していると様々な不快音を発する人と一緒になる可能性があります。
それらの音は病気のせいなどで仕方のないことかもしれませんが、やはり気になるものは気になります。
皆さんが入院するときは追加で課金して個室にしてもらうと入院中のQOLが大幅に上がると思いますよ。
そうじゃなければ、相部屋の人がうるさくないことを祈るのみ。僕は信仰心が足りなかったみたいです。
おわりに
どれだけ需要があるのかはわかりませんが、肺気胸で入院するとこんな感じの入院生活を送ることになるかもしれません、というお話でした。
僕の場合はトータルで3週間近くの入院になってしまいましたが、手術の必要がなければ1週間程度、その後に手術があっても2週間前後で退院できるケースが多いようです。
今回の僕がそうであったように、肺気胸は何が原因とかではなく自然になってしまうものなので、予防のしようがありません。
気胸になったらそれを治すだけです。
ただ、気胸で入院している間は割りと自由に過ごせるのでそこまで悲観することはないかもしれません。
僕の場合は時間の潰し方で悩んだくらいですから。
入院中の時間つぶしも兼ねて書いたこの記事ですが、なんと2万字をオーバーしてしまいました。卒論かな?
正直これを全部読む人がいるとは思えませんね。
僕だったら読まないもん。
ただ、気胸での入院体験をこれだけ詳細に書いているブログ記事はなかなかない気がしています。というかただ冗長なだけ。
何の役に立つかわからない雑多な文章の羅列兼日記みたいな感じですが、何かの参考になれば幸いです。
ペンタ