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学校がピンチ!今すぐ教育に政府の投資が必要だ

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こんにちは。ヘキサです。

 

今回は、ヘキサが現在の日本の学校を見て、とても大変な状態にあること、そして政府はそれに対して支援をしなければいけないのではないか?と考えて、素人の感想程度ですが、意見を書いてみます。

 

ヘキサは、教育現場に関わっているというわけではありませんが、大学では教育学を専攻しており、教育実習の経験もあります。

つまり、普通の人よりも学校という存在を少し近くで見ています。

 

なぜ教育現場が大変なのか、ヘキサの経験やいくつかのデータから日本の学校(特に義務教育段階の学校)の現状についてお伝えできればと考えています。

 

 

学校はどのくらいピンチ?

結論〜学校の先生はこんなにヤバイ!〜

  • 先生の労働時間が長すぎる!
  • 教育投資は他国に比べて少ない!
  • 公務員バッシングの流れが強い!
  • 世界一過酷な教育現場になっている!

 

 

先生の労働時間が長すぎる!

2019年のOECD国際教員指導環境調査の結果で、日本の教員の労働時間が世界一位の長時間労働であることが明らかになりました。

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小学校教員は1週間あたり54.4時間中学校教員は1週間あたり56.0時間平均で働いていることが分かりました。

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教員の週当たりの仕事時間

出典:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46302250Z10C19A6CR8000/

 

ちなみに、OECD各国の中学校教員の1週間あたりの労働時間の平均は38.3時間なので、日本は平均値から相当離れていることが分かりますね。

 

1週間あたり56.0時間って、週5日勤務だったら単純計算で1日あたり11.2時間です。ベネッセの調査でも似たような数値が出ていますね。↓

https://berd.benesse.jp/up_images/research/Sido_SYOTYU_05.pdf

まあ実際は振替のない土曜日勤務だったり、そもそも教員の労働時間が正確に計られていないという現状があったりで、この数字さえも現場で見ている感覚としては短く思えるんだけどんだけどね。

統計としては56時間って出てるけど、実際はもっとありそうってことですね。

 

まあ、この数値が仮に正しかったとしても、1週間あたり56時間って冷静にやばくないですか?

 

教員の勤務時間として定められているのは、学校によっても微妙に異なりますが、8:15〜16:45までの7.5時間であることが多いです。

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教員の勤務時間と休憩時間

出典:http://www.tokyouso.jp

 

1週間では37.5時間、そこに給特法で定められた教育調整額の4%分を労働時間とみなすと39時間です。

 

つまり、1週間あたりで平均して17時間ものサービス残業が行われているということです。

 

普通、残業は残業代が出るのですが、教員の場合は後述の給特法という法律によって、「教員の働き方は特殊で数字で測れないから、1971年(給特法施行)時点でだいたい平均して4%残業してたから、4%分の残業代を予めみなしで乗っけておくから、それ以外は払わないよ」となっています。

 

つまり、どんなに働いてもサービス残業であり、給与が増えることは一切ありません。

(もちろん毎年昇給はするから、ずっと初任給のままという意味ではありません)

 

教育投資は他国に比べて少ない!

教育費にかける国の予算の割合は、2011年の調査(ちょっと古いデータですが)ではOECDの平均では5.6%ですが、日本は3.8%と最も低く、政府が教育に対して最も金を出さないという現状があります。

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公財政教育支出の対GDP比(2011年)

出典:https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouikusaisei/bunka/dai3/dai1/siryou4.pdf

 

しかし、日本の教育の質は高く、2018年のPISA調査で日本は79の国と地域のうち、読解力15位、数学的リテラシー6位、科学的リテラシー5位と、かなり高い順位になっています。

出典:https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/01_point.pdf

もちろん、教育の質はこれだけではないし、いろいろな取り組みをしていて、諸外国に比べてとても手厚いのではないかと思っているよ。

 

国はこれを「最もコスパが良い教育(笑)」と言っていますが、そんなわけないでしょ。

 

実際は国は教育に対して金を支払わないようにしているのに、「教育の質を上げろ!」と訳のわからんことを言っているのですが、その無茶振りに対して、現場の先生たちや教育現場に関わる方たちが、サービス残業や過重労働といった社会の歪みのしわ寄せの中でなんとか首の皮一枚の状態で成立させているというのが現状です。 

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そして、1997年から続く緊縮財政と、現在の政府で閣議決定されているプライマリーバランス黒字化目標(国民赤字化目標と言える)により、毎年のように予算が削られて、新規国債発行額(つまり新規貨幣発行額)が減って、教育界もその煽りを受けていると考えられます。

 

公務員バッシングの流れ

公務員バッシングの流れは毎年強くなっています。もちろん教員も公務員の一部です。

 

公務員バッシングとは、公務員に対して「給料が高すぎる!」「公務員は仕事もしていないし無駄だから削れ!」という論調のことです。

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ただ、実際はどうなのでしょうか?

 

雇用者全体における一般政府の雇用者の割合は5.9%と、OECD各国の中では最も低い数値です。(OECD各国の平均は18.1%)

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雇用者全体に占める一般政府雇用者比率の国際比較

出典:https://news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20190209-00113681/

 

『世界価値観調査』でも、自分が公的機関で働いていると答えた人の割合も、10.7%と、58か国中57位ととても低い数値が出ています。

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就業者の公務員比率の国際比較

出典:https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/10/post-5959.php

 

つまり、公務員は多すぎるのではなく少なすぎるのです。

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そして、公務員は給与が高いという現実ですが、これについては、もともと公務員の給与が高いのではなく、1997年から続く緊縮財政とその中で生まれた「失われた20年」の影響で、一向に不景気から脱出できていない中で、一般のサラリーマンの給与がどんどん削られた現実があります。

 

公務員の給与はもちろん公務員バッシングの影響で削られていますが、それ以上に不景気のせいで、1997年を境に一般サラリーマンの給与が削られていっています。これが悲しいですが現実です。

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日本の実質賃金の推移(2015年=100)

出典:http://mtdata.jp/data_68.html

 

結果、公務員の給与が高いように見えるのですが、だからといって削る理由はありません。

 

また、過去のブログでも言及していますが、給与を削ると、削った分だけ社会から物を買う需要が消えるので、その分お金が失われて、経済活動が冷え込みます。

 

つまり、公務員バッシングをすればするほど巡り巡ってやってくるはずだったあなたの給与が減ることになります。

 

ただ、不景気のせいで公務員バッシングが酷くなっている現状で、やはり教員もバッシングの対象として、とても肩身の狭い思いをしています。

 

このことについては過去記事で詳しく解説をしています。

tetragon64.hatenablog.jp

 

世界一過酷な教育現場

ここからは、ヘキサの主観も含めながら、現在の学校現場の環境について考えていきます。

 

時間外労働は当たり前

先ほども書いたように、教員の労働時間は世界一です。

 

これは、もちろん無駄な働き方や無駄なことばかりしているのではなく、実際に授業をしたり授業準備をしたり、他の事務作業を行ったり、中学校だと部活動の指導を行ったりと、仕事の量が多く、よっぽどの人でない限り、時間内に仕事を終わらせることは不可能です。

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給特法が制定された1971年当時は、6時間授業であれば、そのうちの3時間は授業ですが、残りの3時間は授業準備や事務作業に当てられます。

だから、残業が少なく成り立っていました。

 

しかし、現状では、小学校では担任の先生が6時間すべて授業を行うことも当たり前であり、中学校でも1日5時間なんてこともよくあります。

 

そのため、本来は授業時間内に片付けられていたものが、どんどん放課後に回るようになり、授業を行う回数も増えたため、その分授業準備にも時間がかかるようになり、勤務時間を延長せざるを得ない状態になってきています。

 

授業を会社に例えると、教員にとって大切なプレゼンテーションの時間だと考えられます。本来であれば、45分のプレゼンテーションを考えるには45分の準備が必要ですよね。(むしろもっと必要)

ですが、現状では45分の授業であっても45分の準備時間さえ確保されずに、毎日何回もプレゼンテーションがあるようなものです。これは時間外での準備が必要だってなりますよね。

 

休憩時間がほとんどなし

普通のサラリーマンであれば、休憩時間はお昼休みの45分から1時間であり、お昼ご飯を食べるから休憩であることが多いと思います。

 

しかし、教員の場合は、給食の時間は立派な業務であり、子どもたちに給食を食べさせて、食事の楽しさや感謝の気持ち、食事のマナーなどを指導する立派な勤務時間です。

 

つまり、教員にはお昼休みなどは存在せず、勤務がぶっ通しで続きます

 

じゃあ授業と授業の間の休憩時間は?となりますが、その間も授業準備や子どもたちの指導などが続くので、休憩時間ではありません。

 

休み時間も子どもたちにとってみれば授業の合間の休憩時間ですが、教師にとってみれば子どもたちを指導したり自分の授業の準備をしたりと、立派な「特別活動」と呼ばれる時間であり、勤務時間です。

 

特別活動とは、授業以外の全ての場面を指し、休み時間や給食の時間、掃除の時間や朝の会・帰りの会などが該当します。もちろん、全て勤務時間です。

 

じゃあ、教員の休憩時間は?となりますよね。

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出典:http://www.tokyouso.jp

 

教員の休憩時間は、制度的には授業が終わった後の15:45〜16:30に設定されることが多いです。

もちろん、学校によって多少は前後しますが、ほとんど業務終了の直前に設定されます

 

ただ、実際はここで休憩している先生方は少なく、事務作業を行ったり、授業の課題をチェックしたり、会議が入ったりと、働いている先生方が多いです。

 

つまり、働きっぱなしです。

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「教員の授業時数及び勤務時間数(2008 年)」 の調査では、夏季休業期間を除いた平均で、小学校で 6分から9分、中学校で 15分から17分しか休憩時間を確保できていないという調査も出ています。

参考論文:樋口修資、2013、「教育政策からみた教員の勤務時間管理の 在り方の改善について」、『明星大学研究紀要』第3号、pp.1-15。

 

これは、退勤までほとんどノンストップで勤務を続けているという実態が明らかになっています。

 

給特法の存在

給特法とは、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」の略称で、公立学校の教員の給与などにおけるルールを定めている法律です。

 

給特法の第三条にはこんなことが書かれています。

 

第三条 教育職員(校長、副校長及び教頭を除く。以下この条において同じ。)には、その者の給料月額の百分の四に相当する額を基準として、条例で定めるところにより、教職調整額を支給しなければならない。

2 教育職員については、時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない。

 出典:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=346AC0000000077

 

つまり、教育職員(教員とか)は、給料の4%の教育調整額を支払う代わりに、残業代は支払いませんよ!という条項があります。

 

つまり、教員は定額働かせ放題なのです。

雇う側としては、何時間働かせても給料の支払額は変わらないので、時間管理をする必要もないし、リスクを考えなくて良いので楽ですよね。

 

この法律があるので、時間管理は重要視されず、定額働かせ放題で教員の労働環境はどんどん悪くなっていきました。

 

給与についてはそれぞれの都道府県が定めているので、給与自体を変更することは特に問題ないのですが、残業代を支払うといった待遇の改善が必要であれば、この法律を改正する必要があります。

 

なんなら、2019年12月にこの法律が改正されて、残業時間を含めた勤務時間の上限と、変形労働時間制の導入が加えられましたが、ヘキサとしては改悪としか思えません。

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変形労働時間制のイメージ

勤務時間の上限ということは、ここまでは働かせても良いということが明言されたようなものであり、変形労働時間制により、実質的に定時が延長されたという理解に過ぎません。

 

改正給特法の問題点については、教育研究家の妹尾昌俊さんが指摘している通りだと思います。

news.yahoo.co.jp

news.yahoo.co.jp

 

メンタルを病む先生が多い

教育研究家の妹尾昌俊さんが提示しているグラフですが、公立学校に勤務する職員のうちの精神疾患の患者数の推移をグラフにしたものです。

どんどん増えていることが見て取れると思います。毎年5000人もの人が精神疾患になっています。

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精神疾患による休職者数(人)と在職者に占める精神疾患の割合(%)

出典:https://news.yahoo.co.jp/byline/senoomasatoshi/20200630-00185812/

 

妹尾昌俊さんによれば、1997年〜1999年くらいは1600人〜1900人程度だったということです。

 

これはヘキサの推測ですが、1997年から始まった日本政府の緊縮財政とも相関があるのではないかと思います。

 

日本政府の緊縮財政によって教育関係の予算が削られ、どんどん教育に割かれるリソース(人やものの数)が減ってきたことで、実際に働いている人がどんどん大変になり、精神疾患の患者数が増えているのではないかと思います。

 

もちろん、この数値は目に見えるもので申告されたものの統計であり、実際は精神疾患なのに言い出せずに働いている先生方もいらっしゃるなど、目に見えない精神疾患の方はもっといそうな気がします。

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精神疾患は真面目で責任感が強い方がなりやすい傾向があり、教員は真面目で責任感が強い方も多いと思うので、精神疾患への対策やケアは本当に1日でも早い対策が必要だと思います。

 

もちろん、精神疾患対策も大事ですが、まずは足りないリソースをしっかりと補充することのほうが精神疾患対策になるのではないかと思います。

 

教員志望者は減っている

教員採用試験の倍率が下がっています。

 

倍率が1倍近い県もあり、確実に教員志望者は減っています。

 

教員採用試験の倍率については以下のサイトをご覧ください。

www.nsk-japan.com

 

先生方にお話を聞いたときに、中堅やベテランの先生方は「私が採用された時代は教員採用試験の倍率は何十倍もあった」と、かなり高かったことをお話しくださいました。

 

このことから、教員志望者は減っていると考えられます。

 

これは、教員を志望したいと考えても、教員のブラックな働き方や異常な精神疾患の数などを見て、これだったら教員じゃない方が良いと考えるのではないかと思います。

ヘキサの考えだけど、教員の働きかたがホワイトで、給与が今よりも上がって、残業代もしっかりと出るのであれば、教員を目指す人が増えると思う。

 

元々教員になりたい人が減っているのではなく、教員になりたいと考えてもブラックだから……と諦める人が増えたのではないかと考えています。

 

学校が担う責務が増えている

学校は様々な役割を背負っていることが、このコロナ禍で明らかになりました。

 

2020年の3月から学校が一斉休業になりましたが、当たり前ですが家庭で過ごす子どもが増えました。

本来であれば、学校で預かってもらっているから共働きが成立したり、学校で学習面や生活面で多くのことを教えてもらっていたりしたはずなのに、家庭で学校の役割を担うのには負担が重すぎるなんて実態が明らかになったご家庭は多いのではないでしょうか。

 

それは、裏を返せば、社会にとって学校が欠かせない存在であり、学校に多くの役割を担わせていたことになります。

 

もちろん、学習面で子どもに賢くなってもらうことはもちろん、生活面で集団生活に必要なことを学ぶのは学校の大事な役割です。

 

しかし、それ以上に個人の生活でも必要な生活面での役割や、学校に問題解決や生活指導を丸投げしていたということも気づいた人は多かったのではないでしょうか。

 

例えば、子どもが寄ったコンビニで問題を起こした時に、本来は親御さんに連絡することが普通ですが、その場合はなぜか学校に連絡されます。

普通であれば、家庭の問題なので、子どもとその親とコンビニの店員(と相手の人)の間で問題を解決するのが当たり前ですが、なぜかそうではなく、学校に指導を頼まれます。

 

これは普通に考えると学校の担う業務外ですが、学校はなんでも指導してくれる存在だからと押し付けられます。

学校側も、保護者との信頼関係の問題もあり、安易に断ると学校に信頼されないで今後の教育活動に影響が出るので、渋々受け入れています。

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また、社会から学校に様々な要望が来ることがあります。

小さい時から触れさせておけば大人になっても覚えておくから、といった安易な「三つ子の魂百まで」思想によって、「英語教育は小学校のうちからさせるべきだ!」「金融教育も学校で触れさせるべきだ!」と様々な社会の希望が「〇〇教育」という形で学校に押し付けられることが増えています

 

本来は学校教育で教えなくてよかったのに、だんだんと社会のニーズも高まり、教えるべき内容がどんどん増えています。

2020年にはついに英語が「外国語科」として小学校5・6年生を対象についに教科化されました。

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また、コロナ対策と言って、学校を消毒したり子どもたちの検温をしたり、給食の配膳を教員がしたり……と余計な手間が増えています。

これは全て担任の業務になっています。

 

どんどん担任のやるべき仕事は増えているんですね。

 

コロナ禍の業務量過多については、教育研究家の妹尾昌俊さんも指摘しています。

news.yahoo.co.jp

 

その一方で担任の仕事のうち減ったものはほぼありません。

毎年のように仕事は増えるだけ増えて、一向に減りません。

ヤバイね。

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文科省も減らす気はなく、どんどん学校に様々な役割をしつけてきます。

それなのにリソースはあまり増やさない。

これはいじめの様相を呈しているね。

この状態は国から教員に対する労働時間のカツアゲが行われていると思います。

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公的機関による時間泥棒ですね

 

【まとめ】学校はこんなにピンチ!

教員の労働時間は増えており、やるべき仕事内容もどんどん増えています。

そして、メンタルに病む教員は増え、教員志望者は減っています。

 

それなのに国は十分な補償をせず、仕事を増やすだけ増やして、給特法によってタダ働きが成立し、国が主導して労働時間のカツアゲが行われているのが今の教育現場の現状です。

 

 

このピンチを解決するためには?

では、このピンチをどう解決すれば良いのでしょうか?

 

ここで多くの人は「教員は無駄なことをしているのだから削れ!」とか「国の財政はカツカツだから、教員がどうにかするしかない!」という論調に行くのですが、それは本当なのでしょうか?

 

ヘキサは、この現状を見て、世間から教育に対するニーズが増えているのは確かであり、学校で行うことに無駄なことなどほとんどないと思います。

(もちろん、昔の文化が残っていて、それが無駄だなぁと思うこともありますが、それを集中砲火して削ったところで、仕事量がどんどん増える現状に対する解決策にはならないということです。減らす量は少ししかないのに、その何倍ものペースで増やすべきものが降りてきてしまっているというのが現状だと認識しています。)

 

つまり、現場はどこかが制約したもののしわ寄せを受けているとしか考えられないのです。

 

そのどこかといえば、政府です。

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日本政府の財政はカツカツではない!

日本政府の財政は全くカツカツではないのが現状です。

確かに、プライマリーバランスの黒字化は達成できていませんが、それがどうしたのでしょうか?

 

日本政府は、自国通貨を発行しており、変動為替相場制で、国内の供給能力も十分にあるので、インフレ率が許す限り、国債を発行しても極端なインフレになったり、デフォルトしたりするなんてことはあり得ません!

 

インフレ率が2%になるまでは、国債を発行してもなんともなりません。

 

詳しく知りたい方はこちらの記事をお読みください。

tetragon64.hatenablog.jp

 

むしろ、「失われた20年」という稀に見る長期のデフレによって、供給能力はどんどん失われている真っ最中です。ただ、まだ日本には供給能力があり、お金を発行すれば、そのお金を求めている人は多いです。

 

財務省も「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。」と明言しているわけですから、財政破綻なんてあり得ないわけです。

出典:https://www.mof.go.jp/about_mof/other/other/rating/p140430.htm

www.mof.go.jp

 

なぜ財務省がそう明言しているのかを解説した記事もあるので、ぜひお読みください。

tetragon64.hatenablog.jp

 

もし仮に日本が財政破綻寸前であれば、日本の国債金利は暴騰しているはずですが、実際は0%近辺をうろうろしています。

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政府貨幣発行残高(旧:長期債務残高(左軸))と国債金利・インフレ率(右軸)

出典:http://mtdata.jp/data_69.html

 

これはむしろ国債の数が足りておらず、市場が国債発行に飢えている状態だと言えます。

例えるなら鯉が餌を持っている人を目の前にして、水面から口を出してパクパクと待っている状態だと思う。

 

つまり、国債発行(つまりは貨幣発行)の量は多すぎるのではなく、少なすぎるのです!

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したがって、政府は今こそ積極財政に転換し、多くのお金を市場に供給することが求められます。

 

市場にお金を供給する行為の一環として、ヘキサは教育事業に投資する必要があると考えています。

(もちろん、このコロナ禍の間は、とにかく市民に一刻も早く給付や休業補償などをすべきだと思いますが、そういった補償はもちろん行いつつ、教育事業にも投資する必要があると思います。何かをするには何か別の事業を削るなんて必要はどこにもありません。なぜならば、とにかくお金を市場に供給しないとまずい経済状況になっているからです。)

 

政府が投資しなければならないこと

ということで、教育関係において政府がやるべきことをこれから考えます。

 

もちろん、このこととは別にコロナ禍の給付もやるべきだし、社会保障もやるべきだし、公共事業もやるべきだと思います。

 

ただ、そこまで述べるとさすがにやってほしいこと、やるべきことは山積みであり、長すぎて書ききれないので、今回は教育、特に義務教育段階に絞ったお話をします。

 

コロナ禍の給付についてやるべきことについては、過去に考えた記事がありますので、是非そちらをご覧ください。

tetragon64.hatenablog.jp

 

教育関係費を増やせ!

そもそもですが、政府はまず何に使ってもいいから、とにかく教育関係に支出する投資を増やしましょう

少なくともOECDで一番教育にお金を使っていないなんて不名誉な称号にすがるのはやめましょうよ。

 

当たり前ですが、これがないと教員の給与も設備もその他諸々も始まりません。

 

先生の数を増やす

その中で、まず真っ先に行うことは、正規雇用で教員の数を増やした方が良いと考えています。

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教育は確かにお金にはならず、子どもという今現在では無価値だとされる存在に対して支出をするという、利益を優先する人々からすればとても投資できないような事業です。

 

しかし、子どもを育てるということは、10年後、20年後の日本国民、そして将来性のある大事な生産力を持つ大きな存在を守るということです。

 

つまり、教育は利益にはならなくとも、必ず日本を維持し、社会を維持するためには必要な事業であると言えます。

 

でも民間はそんな赤字事業をやりますか?

 

だから、政府が赤字でも教育を実施する必要があります。

実際、多くの学校は国が設置する国立学校や各自治体が設置する公立学校があり、特に小中学校の9年間は義務教育とされ、子どもに教育を受けさせる義務を社会が負っています。

 

それなのに、「先生が少ない!」「先生のなり手がいない!」なんて許されますか?

 

当たり前ですが、労働環境がホワイトで、給与や待遇が良ければ、嫌でも人は集まってきます。

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だからこそ、教員の給与を上げたり、教員の労働環境を改善する必要があるのです。

 

そのためには、多くの人を採用する必要があります。

 

「最近は教員のなり手が少ないから…」と反論されますが、少なくとも給与を上げたらなり手は増えると思います。

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なりたいと言った人をできる限り必要の人数になるまで全て採用したらそれで良いのではないかと思います。

 

その時に、教員の質の問題を心配される方がいらっしゃると思いますが、教員の研修制度は充実しており、また1年目からいきなり担任を持たせるのではなく、人数がいればしっかりと経験や研修を積ませて成長させることができます

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(っていうか、冷静に考えると、1年目からいきなり担任を持たせている状態が異常すぎませんか?)

 

多くの人を成長させる教員という仕事自体が自分たちの後輩の教育を諦めてどうするんだ?という話です。

 

職員の数も増やす

もちろん、先生を増やすことも大事ですが、それをサポートする職員の数もとても大切だと思います。

 

学校には多くの仕事があるのに、学校の中にいる大人の数が少なく、本来は教員免許がなくてもできるような仕事に先生が行っているなんて事例はよくあります。

 

先生が教育や指導に集中できる環境を作るためには、周囲のサポートが必要です。

 

学校事務や管理員、用務員や給食調理員など、人が必要な場所はまだまだあります。

他にも、スクールサポートスタッフといった、担任業務の一部をお手伝いする人もまだまだ必要だと考えています。

専門の資格は必要ですが、カウンセラーも需要が高まっています。

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教員だけでなく、教員を支える存在もまだまだ足りていないのではないかとヘキサは考えています。

 

人を増やすという点においては、ヘキサの根底にジョブギャランティープログラム(以下:JGP)の考え方があります。

JGPとは、働きたいけど職がない人を公務員で正規雇用することで、需要を創出することができるという考え方です。

 

この考え方をもとにすれば、不景気で職がない時には公務員になって、好景気になれば民間に転職しやすくなり、仕事が安定してあるので労働者の将来不安も減り、貧困への対策になるという考え方です。

(余談ですが、非正規雇用だと、雇用が保障されないので、将来不安という点ではまずいですね。やはり、正規雇用であることが大切だと思います。)

 

もちろん、国はインフレ率の制約はありますが、不景気の時はインフレ率が低いので、公務員として雇えば赤字を拡大でき、好景気になれば民間に転職するので、支出を抑えられて景気加熱のブレーキになります。

 

特に学校は人数が足りなく、人の数が必要であり、公務員だし、JGPの考え方を導入するには良い労働条件だと考えます。

教員免許を持っている人は教員として、社会人経験のある優秀な人が教員になってくださるし、教員免許を持っていなければ、職員としてサポートに回る仕事をしてくだされば、より学校が安定して運営できるようになります。

 

先生の給与や待遇を改善する

人数を増やすだけでなく、教員の給与や待遇についても改善が必要だと考えています。

 

教員は給与も待遇も比較的優れている方とは言われますが、実際には通常の登校日には有給休暇が取りづらかったり、代替教員を探すのが大変だったりと、人数が少ないせいで本来は労働者の権利であるはずのものが使いづらい状況になっています。

 

だからこそ、教員の人数が増えれば、給与や待遇も改善し、休暇も取りやすく、代替が簡単にできるようになるので、休むことの罪悪感が減ると考えられます。

 

教材もより充実を!

IT化した教材が必要

学校にある教材についても、足りていないのではないかと感じています。

 

例えば、職員室にPCが置いてあったり、子どもたちに1人1台のタブレットを渡すとは言われていますが、PCやタブレットの性能や処理能力が低く、動作が遅いものが多かったり、PCはあるのにWi-Fiは整備されておらずネットに接続できないなど、「それ導入した意味ある?」と思えるような導入の仕方がされているものはたくさんあります。

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ということは、学校内へのWi-Fiの導入やより性能の高いPCやタブレットの導入は国が率先して予算を確保して行う必要があります

 

時間が止まったままの学校

また、公立学校あるあるだと思うのですが、壊れているのに修理されないバスケットゴールや、緩衝材が破れているサッカーゴール、穴のあいたボールや切れた校庭のロープ、割れたままの窓ガラス、壊れたままのベンチ……と言ったように、お金がなくて修繕されなかったり新しく物が買われなかったりして、子どもたちが学ぶのに必要な物や安全性が確保されない状態のものがたくさんあります。

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ヘキサは小学校は公立で、中学校から私立だったのですが、公立と私立の一番の違いは、道具のきれいさだと考えています。

 

私立学校は、学費が高い分、必要なものをしっかりと買い替えたり整備したりするので、教材が充実していて、きれいなものを使えます。

 

公立学校は、もちろん最低限ものはきれいですが、税金で運営されているからこそ、お金がなくて修理されないままのものもたくさんあります

 

だからこそ、本来はこういった修理されないものや新しく買われないものをしっかりと税金で買っていくからこそ、そういった業者も残っていくし、需要が創出されるし、子どもたちもきちんと学ぶことができるのではないでしょうか?

 

もちろん、もったいないの精神は大切であり、ものを大切に使うという精神を否定しているわけではありません。

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割れ窓理論でもあるように、きれいなものの方がきれいな状態を維持しようとする心理が働くとされています。

割れ窓理論とは、環境犯罪学上の理論で、軽微な犯罪も徹底的に取り締まれば、様々な犯罪の抑止ができるとする理論です。この考えを援用すると、きれいな状態に保っておけば、きれいなものをよりきれいな状態で維持できると考えられます。

割れ窓理論の参考サイト:http://www.告訴告発.com/r_ware.html

 

もったいないの精神を学ぶためにもきれいなものがきれいな状態であることは大切ではないかと思います。

 

手続きを簡素化するために

学校の中でも、変革していく必要があるものはいくつかあると思います。

 

中でも、学校と保護者とのやりとりはこれから改善する可能性があるのではないかと思っています。

 

学校では、よく手紙が配布されますが、紙で渡すとなると、子どもが持って帰る時に汚したりなくしたりすることがあり、ロストのリスクがあります。

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また、連絡帳で当日の欠席を伝えることも、学校が始まってからでないと担任含め学校は知ることができません。

電話で欠席を伝えるとしても、先生たちが勤務している間にやりとりをする必要があります。

 

そこで、学校と保護者をつなぐアプリやポータルサイトみたいなものがあれば、手紙は直接電子データで保護者に届けて、欠席連絡も24時間打ち込むことができて、学校も勤務時間内に把握できるなどの工夫もできるのではないかと思います。

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大学等だとポータルサイト上でやりとりをすることが当たり前になっていますし、技術としては全く不可能ではないと考えられます。

 

しかし、こう言ったものの導入が遅れているのには、個人情報の管理という問題もありますが、根本はお金がなく導入できないということもあるでしょう。

 

ある企業では、紙データで個人情報を持っている方が危険であり、個人情報は印刷せずにデータ上だけで管理する企業も増えているので、紙データのほうが安全ということに関しては議論が必要だと感じています。

 

つまり、ITを使って学校の手続きを簡素化できる方法はいくつも存在しており、導入しようと思えば導入できるのですが、お金の問題で導入できずに、昔の方法のままになってしまっている状態の学校も多く存在するのが現状だと感じています。

 

【まとめ】政府はとっとと金を出せ!

以上のことから、政府は教育に予算をつける先はたくさんあることがお分かりいただけたのではないかと思います。

 

今紹介したものは一部であり、おそらく現場で働く教員の意見を聞けば、もっと効率よくもっと現場のためになるお金の使い道はたくさん出てきそうですね。

 

そして、日本政府はインフレ率が許す限り、国債を発行できるので、インフレ率が0%の日本では、まだまだ国債を発行し、お金を市場に供給する余地があります

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そして、教育現場は政府からの支出を待っています。

限界状態で働いている先生が多くいらっしゃって、その上で現在の日本の教育は保たれているという現状があります。

 

だからこそ、政府はとっとと教育に対してお金を出す必要があるし、ヘキサを含め、我々はこの現状を知った上で、政府に「もっと金を出さないとまずいよ!」ということを伝える必要があるのではないかと考えます。

 

 

おわりに

今回は、ヘキサが感じている学校の現状と、教育に関して政府はもっとお金を支払わなければいけないという意見を述べました。

 

拙い文章で、まだまだうまく言い表せていない部分もありますが、要するに政府は何をケチケチしているんだ?ということです。

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違う見方をすれば、政府がケチケチしているせいで教員の労働環境はブラックになり、教員志望者は減り、教員の精神疾患数を増やしているという、悲惨な姿があるのではないかと考えています。

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だからこそ、ヘキサはこの現状に声を上げる必要があると思うし、政府に対して要求していく必要があると思います。

 

また、「緊縮財政を転換して積極財政にしていこう!」と声を上げる人もいて、「教員のブラックな環境をどうにかしなきゃいけない!」と声を挙げている人もたくさんいるのに、なぜその人たちの意見が交わっていないんだ?と思い、この記事を執筆しました。

(実際にはいらっしゃるのかもしれませんが。)

 

特に、教員の労働環境を変えたいと考えている人は、お金の仕組みを知って、「今の日本政府のデフレ期における緊縮財政はおかしい!」という声を教員の労働環境と合わせて声を上げる必要があるのではないかと考えます。

 

 

最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。

 

 

 

(ヘキサ)

 

 

先生だけではなく、公務員も増やした方がいいですよね、という記事です。

日本は公務員が少ない!今こそ公務員を増やした方がいい5つの理由 - テトたちのにっきちょう

tetragon64.hatenablog.jp

 

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