お試しで始めてみて、気づいたら1年経っていた。
昨年の6月。一足先にspotify Premiumを始めていた友人から「今なら3ヶ月100円だから始めてみれば?」と布教された。もともとある理由から興味があった私は、一も二もなく「よーし、じゃあ始めてみっか!」とその場で1分と経たず登録した。「え、もう登録したの。はや」と若干引き気味に返されたが、思い立ったが吉日、即行動である。100円も払えないほどお金に困っていた時期ではなかったし、3ヶ月もあるのだから、気に入らなくてもその期間内にやめればいいだけと、そう思っていた。
それから3ヶ月後、私はspotifyがないと生きていけなくなっていた。
想像してみるんだよ
どうも、テトです。
この記事は、
から繋がっています。
この記事で言われている"音楽の聴き方の転換"の核となったのがspotifyであることは間違いないのですが、それ以外にも複合的な事象が絡んでいた、いわば「spotifyに依存する下地が(意図せずして)できていた」とも感じたので上記事をプラットフォームにしてこの記事とは分けることにしました。そうしたらなんだか記事数が増えに増えてしまって最終的に5部作(プラットフォームを含めると6部作)となってしまいました。スターウォーズかよ。
この記事では、spotifyを始めてみたら私が虜になってしまった点をただ語っていこうと思います。spotifyに対するノロケ話ですね。
ちなみに、タメになる情報系ブログによくありがちな「音楽系ストリーミングサービスを比較してみた!」とかはありません。spotify以外のストリーミングを利用してれば書けたかもしれませんが、少なくとも私はspotifyだけで十分満足してるので。なので比較とかはできませんが、「spotifyのこの点がすごく好き!」「ココってすごく優れてるんじゃないの?」と思ったところを紹介していきたいと思います。私がそれまでどう音楽を聴いていたかは上のプラットフォーム記事から見られるので、ご興味ある方はどうぞ。
spotifyを始めてよかったところ
洋楽がたくさん聴ける
たくさんてかほぼ聴けますね。聴きたいと思って検索して出てこなかった洋楽アーティストって、この1年利用してみて1回ぐらいしかないです。それほどコアなアーティストを聴かないというのもあるかと思いますが、例えばこのアーティストとか、あるの感動しました。
Shaka Ponkは最近のアーティスト(といっても上の曲は10年以上前)だけど、そういうのだけじゃなくStackridgeのような昔のアーティストも普通にある。
そして何気に一番感動したのが、Caravan Palace聴けるってこと。
YouTubeでPV見て即堕ちして、なんでこんないい曲が日本でダウンロード販売されてないんだ―――!って悲しみに暮れてたらspotifyで聴けた。やったね!
とにかく洋楽に関してはほぼ確実にあるので、「そういえば洋楽のあの曲聴きてえ~」ってなった時に即視聴できるのがたまらない。
もちろんクラシックも聴けます。最近はフォーレを聴き始めました。
あのサントラも聴ける!
洋楽においては半ば思考停止で聴ける。要は「あの曲あるかな~」とか「フルで聴けるかな~」とかそういった思考皆無でとにかく聴ける。これって結構革新的だと思うんですよね。生活の中に少しでも洋楽が組み込まれている人なら、楽しくないはずがない。
邦楽もけっこうある
最近は洋楽だけでなく邦楽もけっこう聴けるようになってきました。僕が加入したここ1年でもいろんなアーティストが続々と参入している感じがあります。1年前には聴けなかった曲もいつの間にか聴けるようになってた、という経験がけっこうあります。
こんな往年の名曲も聴けるし…
最近のバンド事情にもついていくことができます。
ここらへんがあるのほんとに驚きました。アニソンといえばア〇ュータ、というイメージがありますがspotifyも全くないわけではないようです。
すべての邦楽があるわけではないですが、それでもいろんなアーティストが続々と参入を遂げており、もはや「spotifyは洋楽専門」の時代はとうの昔に過ぎ去った感があります。
ディグのしやすさが秀逸
spotifyを始めてみて、一番感動したのがこの点です。とにかくレコメンド機能が秀逸で、例えばYouTubeで曲をディグっているときの関連動画をポチポチしていくあの感じとは比にならないほど正確に紹介してくれます。
YouTubeなどで曲をディグっていくと、例えばJ-POPという大枠の中で、しかも超有名な曲ばかりレコメンドされたりとか、MVが話題になってる曲とかがよくレコメンドされたりするじゃないですか。ああいうのもたまにはいいんですけどね。
まあそれはそれとして、spotifyは本当に有名な曲から超マイナーな曲まで分け隔てなくレコメンドしてくれるんですよね。そして、そのアーティストを聴いている人が好きそうな曲、その曲を聴いている人が好きそうな曲、そのアルバムを聴いている人が好きそうな曲など、あらゆる角度から未知の曲を紹介してくれる機能が備わっていてとにかくすごい。
ほんでもって、普段聴いている曲の中で雰囲気が似ている曲を交えながら、今まで聴いたことのない曲も盛り込んでいく。そんな夢のようなプレイリストも作ってくれます。
僕が初めてこの"My Daily Mix"を聴いた時、まるで音楽の趣味がめっちゃ合う先輩がDJをしているラジオを聴いている感覚になりました。空想上の話ですけど。「あーいいねこの曲選!わかってるねぇ~!」(よく考えてみれば曲再生情報が残っているのだから当然)から「おっなにこの曲?知らない曲きたけどこれもかっけぇ!」まで味わえる、贅沢な時間を過ごせます。
「この曲のジャンルってなんだ?」「この曲に似ている曲聴きたい!」と思った時に検索をかけてもあまり出てこなくて困るというのが多々あります。「〇〇 ジャンル」とかで調べても「J-POP」とか「アニソン」が一番上に出てきて、「いや、そうだけどそうじゃない(力尽き)」となることが常です。
ラブライブ!サンシャイン!! 3人組ユニットの楽曲考察 - テトたちのにっきちょう
私が楽曲考察記事を書いた時にも少し触れたのですが、ある曲を解釈しようとしたときに、それが流通の性質によって区分されるのか、それともテクスチャーによって区分されるのかによって関連して挙げる曲がまったく違ってくるわけです。
spotifyに目を向けてみると、確かにボカロ出身アーティストの関連楽曲が同じくボカロ出身アーティストであることが多いなど、多少そういった区分に引っ張られることはありますが、少なくともサカナクションの新宝島を聴いた後にDA PUMPのU.S.A.をレコメンドしてきたりは絶対ないわけです。
spotifyのレコメンド機能が優れているのは明らかです。こうしたおすすめ機能において従来から利用されてきた協調フィルタリングに加えて、マシンラーニングが採用されているからです。詳しくはspotifyに在籍していた方の回答を読むと面白いです。
リスナーの好みの共通点に焦点を当てるだけでなく、曲そのものを解析しレコメンドすることによって、再生数が少ない曲や新しい曲なども分け隔てなく聴くことができるようになり、これまでにないまさに新感覚のディグを経験することができます。
容量を気にしなくて済む
これは、まあ当然のことなんですが。
ポータブルプレイヤーで誰もが経験する煩わしい容量問題ともおさらばです。
ちなみに通信容量についてですが、週2~4日出先で3時間ほど、音質を「自動」で利用した場合の1年1カ月ぶんの通信容量がこんな感じです。
もっとも、spotifyに入っていない曲を聴く日もあるので一概には言えないのですが、僕の場合はだいたい月に1GBいくかいかないかくらいですね。あまり通信容量で困ったことがありません。
カラオケができる
要は歌詞表示機能があるってことですね。これ地味に便利。
たまにどうしても歌いたくなる時ってあるじゃないですか。ないですか? 僕は3ヶ月に1度くらいあります。そんなわけで、spotify始めた当初は「ほーん、イラネ」と思っていた歌詞表示機能に気づけばたまーにお世話になっています。今まで曲名で検索して歌詞タ〇ムにお世話になってた日々がその手間とともに消えていきました。
spotifyにはカラオケ音源も入ってる場合もあるので運が良ければがっつりカラオケをすることができます。
DJができる
※2020/7/25追記
2020年7月1日付でdjayはSpotifyとの提携を止めたようです。djayアプリを開くとまだできるようにはなっていますが多分時間の問題でしょう。残念ですね……
この記事の冒頭で述べていた「もともとある理由から興味があった」とはつまりこのことです。僕が唯一持っていたPCDJがdjayで、その曲選択画面にあるspotifyの文字列を見たのが僕とspotifyとの初めての出会いでした。
調べてみると、どうやらspotifyで配信されている楽曲がDJのミックスに使えるという魔法のようなサービスらしい! と喜んだのも束の間、当時はspotifyがまだ日本上陸を果たしていなかったのでそれが利用できないと知り落胆したのでした。
それから2年ほど経って、日本上陸も無事果たし3ヶ月100円セールをやっていることを知り加入を決めたので、実質的なきっかけというのは僕の場合この機能でした。
もしDJに興味があるのなら、djayをダウンロードしてspotifyの楽曲とともにやってみるのもいいかもしれません。お遊びで始める分にはとってもコスパが高いですよほんとに。
超有名EDMが入ってることだし…
アプリは無料版もあるしね。
僕は1回、小さいハコの現場でも使ったことがあります。さすがにEDMじゃないですが。普通に鳴ってて選択肢としてはアリだと思います。
spotifyの弱点
アーティスト名が統一されていない
こちらをご覧ください。マイアーティストの画面です。A~Z、ア~ン、漢字という並び順です。
洋楽のアーティストでも、原語表記とカタカナ表記の者がいます。例えばThe Beatlesは"T"でもなく"B"でも"ビ"でもなく"ザ"の位置にあります。原語表記のアーティスト、例えばThe KorgisはKの位置にあるのに。
なんでカタカナ表記にしちゃったんでしょうか。理解に苦しみます。
最近はもっぱらマイアーティストのページからは入らず、検索ページからアーティスト名を検索するようにしています。検索は"The Beatles"にも"ザビートルズ"にも対応しているので、表記はそのままでも並び順だけはなんとかしてほしいものです。どのアーティストがカタカナ表記かとかいちいち覚えてられないので…
ローカルファイルとの適合性が最悪
spotifyはローカルファイルの再生にも対応しています。ですが、「spotifyにローカルファイル入れて音楽アプリを一本化しよう」と考えているなら慎重になったほうがいいかもしれません。
しくみを話し出すと長くなってしまうので、まず公式のページを載せます。
要はPCのspotifyにまずローカルファイルを入れて、その中でローカルファイル曲が入ったプレイリストを作って、アプリとWi-Fi経由で同期する。
それしか方法はない。
えっ?
まずなんでWi-Fi経由で入れないとダメなんだ。コード繋いでiTunes内のアプリ同期じゃいかんのか?
しかもなんでspotify内でプレイリスト作らないといけないんだ。わけがわからないよ。
極め付けは、ローカルファイルで持ってきてもアプリ内での扱いは「プレイリスト内の曲」というだけなので、マイアーティストにもマイアルバムにもマイソングにも反映されないし、当然検索しても出てこない。ただプレイリストを選択して曲が聴けるってだけ。
自分の持ってるアルバムを、逐一プレイリスト名をアルバム名に設定しながら登録していけばまだ使えなくはないかもしれない。でもそれって他のアプリで聴くのと変わらなくね? てかアーティスト名や曲名で検索できる分他のアプリで聴いた方がよくね??
なんとさらに今なら!! mp3とm4pしか対応していません!!
ということで、spotifyと既に持っている曲の夢の共演を垣間見たいつぞやの僕と同じような人、さようなら。
音質
僕はあまりデメリットだと思ってはいないのですが、ストリーミングサービスをまだ使ったことがない人にはこの点が非常に気になると思います。
僕は前述のとおりスマホアプリでは音質を「自動」に、自宅のPCでは高音質に設定しています。この設定で「音質悪いな~」と気になったことはありません。320kbpsで聴ければ十分でしょう。
巷で聴いたあの曲
ここまで僕が思うspotifyに対する所感をまとめてみましたがいかがだったでしょうか。1年間spotify利用してきて、はやくも生活の一部として刻み込まれてしまった感があります。
「今日出かけた先の店でかかっていた曲がよかった。」
「テレビでかかった昔の曲に懐かしさを思い出した。」
「友人からおすすめのアーティストを聞いた。」
人生の至る所で対峙する音楽。その一瞬を逃さず自分の思い出とともに永遠のものとすることができます。
なんだかカメラの宣伝文句にも似たようなものを感じるのですが、それって当たらずといえども遠からずではあると思います。
最近はみんないろんなものにスマホのカメラを向けるようになりました。その中でもスナチャとかストーリーとかが与えた影響は大きいと思います。最初僕はそれを異様な光景として見ていたのですが、でも考えてみると、人生の一瞬をこんな気軽に誰でも映像に切り取れる時代になったのだとみるとあながち悪くないような気もします。
spotifyもまた、そういった人生の思い出の音楽を出会った先々で保存できるという考え方をしてみると面白いかもしれません。ポケモントレーナーにとって出会ったポケモンを解説し記録してくれるポケモン図鑑が必需品であるのと同様に、出会った音楽をその場で記録しておけるspotifyもまた、現代の音楽リスナーにとって必需品なのかもしれません。なぜポケモンに例えた。
楽曲配信のロイヤリティではやっていけない
とはいえ、ストリーミング配信で得られるロイヤリティはCD購買のそれには及びません。テイラースウィフトの「音楽は無料ではない」提言や、日本のアーティストの一部が未だ踏み切っていない現実をみても、アーティスト側の目に映るストリーミング配信が様々であることがわかります。
spotifyの出発点は「違法ダウンロードを駆逐すること」であるともとれます。
そして、だいぶ前の記事ではありますがspotifyとそのロイヤリティ、違法ダウンロードへの影響がわかりやすく記されてます。これを読んでいるだけでもだいぶ面白いです。
spotifyなどのストリーミング配信だけでなくYouTubeなどの無料動画共有サービスが広まった昨今では「音源に対する収入ではやっていけない」というアーティストが大半だと思います。あるいはそれ以前からそういった状況が始まっていそうですが。
よく音楽番組で「○○代が聴いている曲を街頭インタビューでアンケート」とかやってますが、そのうちの何人がそのCDを買ったりiTunesなどでダウンロードしているでしょうか。音楽を聴き楽しむ人は多くいても、そのうち目に見える形で音楽にお金を定期的に払っている人はとても少ないように思います。それはまあ、spotifyの無料ユーザーにも当てはまるとも思うのですが。
そんなこんなで、音源を売るだけではやっていけないから、今ライブ興行にどんどんシフトしています。したがって、ライブやフェス受けする曲、またそんな曲を作るアーティストが好まれるようになっています。
もしくは、アイドルの握手券とか初回限定版特典とか。とにかく音源以外に価値をつけないとやっていけない。
それはそれで仕方のないことだとは思うけど、そんな流れによって自分の好きな音楽が減ってしまうのは悲しい。そうも思います。
だからみんな音楽にお金使えとかそういう話ではないですが、もっといろんなアーティストがストリーミングに参入して、多くの人が無料有料問わずspotifyなどを使うようになったら、もっと違う世界になるのかなと思います。
上のテイラースウィフト記事でも触れられていますが、アーティスト側がアーティストページを販促に大きく活用したり、クラウドファンディングとも連携したら、もっと面白くなるのではないかと、淡い期待を抱いています。
好きな人が存分にお金を使えて、そうでない人もライブに引き込んだりできるような、そんな中継地としてのspotifyが生まれたら面白いですね。
かくいう僕もそのうちspotifyでアーティストページを開設しようかと思ってるので、そんなのを夢見てます。
おわりに
語ったらこんなに長くなってしまいました。少しでもspotifyに対する興味が深まったなら幸いです。
なお、"Deep Purpleの曲に懐かしさを覚える"という文脈で自分の年齢が誤解されそうですが、僕はspotifyを月480円の学割プランで利用している学生です。
学生は学割プラン適用できるからぜひ!
(テト)